エクアドル視察日記

ヒロセ通商の企業理念に掲げております「人と世界をつなぐ」ということから行っております、学校建設プロジェクトも今回で3カ国目となりました。 今回はエクアドルのロハというところに学校を作らせていただいたのですが、私自身、初の南米大陸とういうことで大変楽しみにしておりました。また、日本人観光客がほとんどいないという点もテンションが上がりました。 ただ、不安な点がなかったわけではありません。というのも、言葉が全く通じないということが最大の不安要因で、エクアドルの公用語はスペイン語なのですが、私は日本語と英語しか話すことができないため、うまくコミュニケーションがとれるのか、困ったときはどうしようなど、心配しながらも出発日まで何もせず、出発当日に成田空港でスペイン語の本を購入するという、危機管理能力の無さに、我ながら情けない思いで出発しました。

エクアドルの通貨は、紙幣は米ドル、硬貨はエクアドルドルコインという少し変わったものでした。エクアドルのコインを集めて1ドル紙幣に両替することができるのか?と疑問に思いましたが、エクアドルドルコインは米ドルコインと同じ価値なのだそうです。

エクアドルまでの道のりは、伊丹(大阪)→成田(東京)→アトランタ(アメリカ)→ キト(エクアドル)→ロハ(エクアドル)と、飛行機を乗り継ぎ、キトまで約22時間かかり、キトからロハまでは国内線で約1時間の移動です。

ようやくキト空港に到着。キトは、エクアドルで第2の都市であり、南米有数の世界都市といわれています。赤道直下に位置しているのですが、アンデス山脈の中腹(標高2850メートル)にあるため比較的涼しく、『永遠の春』といわれているそうです。 私が宿泊したアクロスホテルは空港から15分ほどの都心にあり、4つ星ホテル相応と紹介されていました。キトには旧市街と新市街とがあり、新市街は高層ビルやホテル、ショッピングセンターなどもあり、都会的でとてもきれいな街でした。旧市街に行くと雰囲気はガラッと変わり、いかにも下町といった感じで、アパートの前の路上でサッカーのボードゲーム?に興じる家族など、私の眼にはほのぼのとした雰囲気に見えたのですが、実は、スリや置き引き等がとても多く、治安は良くないとのことでした。

翌日、キトからロハまで、飛行機で約1時間の移動でしたが、飛行機からの眺めはとてもよく、標高6,000メートルほどのコトバクシ火山の山頂に雪が残っている景色は格別でした。眺めもよく、1時間の移動だったのであっという間にロハに到着しました。 夕方、ロハについてすぐにホテルに向かったのですが、ここで宿泊したホテルは、ハワードジョンソンという、なんと5つ星のホテルだったのです。私はこれまで、学校訪問でもプライベートでも、こんな高級なホテルに泊まったことがなく、テンションが上がるどころか、うろたえてしまいました。

翌朝、明るい時間に改めてロハの町をみて、第一印象は「暗い田舎町」でした。 ロハには長寿の村があるそうなのですが、そちらには立ち寄らず、目的地であるゴンサロ・サルデュムビデ学校へ向かいました。途中、現地スタッフのいるカリアマンガ活動地域へ立ち寄り、現地スタッフとの挨拶、朝食を済ませ、スタッフの方々と共にゴンサロ・サルデュムビデ学校へ向かいました。

移動は車でしたが、山岳地帯ということもあり、ところどころ、霧が濃く前が見えない状況のなか、運転手はまるで全て見えているかのような軽快なハンドルさばきで私たちを運んでくれました。道を進むにつれ、沿道に牛や馬、ヤギなどをみました。車に驚かないところをみるとおそらく野生ではないと思いますが、スタッフの中で英語が話せる人は2人しかおらず、私のつたない英語は、ほとんど伝わらなかったので、野生なのか家畜なのか?というつまらない質問は控えました。

でこぼこ道に濃霧、会話もはずまない車内はとても居心地が悪く、2時間ほどの移動でしたがとても長く感じました。

ようやくゴンサロ・サルデュムビデ学校に到着し、できたばかりの学校を見させてもらいました。今までにケニヤ、フィリピンで作らせていただいた学校と比較しても、結構立派な建物でした。今回の学校建設は、今までと違い、子供の数が増えたことで、校舎が足りず、みんなに十分な教育を受けさせることができない状態になっているということで、旧校舎の建て替えではなく、校舎の新設をさせていただいたものでした。 全校生徒は50名ほどで、7クラスに分かれています。電気設備が不十分なため、朝は7時半から授業が始まるのだそうです。山岳地帯にある学校なので、片道1時間以上かけて登校する生徒も少なくないのですが、誰一人遅刻をする生徒はいないと聞きました。

私たちの周りには、学校に行きたくないと言っている子供や、雨が降っているから休みたいとか、夜更かしをしたため朝起きられずに遅刻をするなど、当たり前のように見聞きします。また、今年は日本でも【節電】を心がける人が増えていますが、それでも電気は当たり前にあり、使おうと思えば使いたい放題使える状態です。 ゴンサロ・サルデュムビデ学校の子どもたちは、学校で文学だけでなく、生活をするための知恵なども学び、学ぶことの大切さを理解していると感じました。 出発直前に成田空港で買い、ほとんど開くことがなかったスペイン語の本を眺めながら、帰路につきました。

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