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2025年06月17日(火)05時32分

NY外為市況=ドルは下に往って来い

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日本時間午前5時32分現在での主要通貨は以下の通り。
           直近値 前日のNY17時比 高値 / 安値
ドル・円  144.77 + 0.70 (+ 0.49%) 144.88 / 143.65
ユーロ・ドル 1.1562 + 0.0013 (+ 0.11%) 1.1615 / 1.1524
ポンド・ドル 1.3580 + 0.0009 (+ 0.07%) 1.3622 / 1.3535
ドル・スイス 0.8145 + 0.0031 (+ 0.38%) 0.8147 / 0.8089
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<きょうの材料>
※経済指標
【米国】
*NY連銀製造業景気指数(6月)21:30
結果 -16.0
予想 -6.3 前回 -9.2
※発言・ニュース
*米20年債入札結果
最高落札利回り 4.942%(WI:4.942%)
応札倍率    2.58倍(前回:2.46倍)
*イラン、イスラエルとの緊張緩和を望む
 イランはイスラエルとの緊張緩和を望んでおり、米国がイスラエルの攻撃に参加しな
い限り、米国との核協議を再開する用意があることを示唆したと伝わっている。
*トランプ大統領
 トランプ大統領は、イスラエルとイランに関するG7の声明案に署名しない方針だ伝
わった。CBSの記者が米政府関係者の話として伝えた。その日の早い時間にG7声明
の草案が関係者間で回覧されていたとも伝えている。
*イラン、トランプ大統領にイスラエルへの即時停戦圧力を要請
 イランはトランプ大統領に、イスラエルへの即時停戦圧力を要請したと伝わった。カ
タール、サウジ、オマーンにはトランプ大統領への圧力を要請したという。イランはト
ランプ大統領に核協議での柔軟性を提示する方針だという。
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<明日の材料と事前予想>
【日本】
日銀政策金利(6月)時刻未定
予想 0.5% 前回 0.5%
植田日銀総裁会見
【ユーロ圏】
ドイツZEW景況感指数(6月)18:00
予想 35.0 前回 25.2
【米国】
小売売上高(5月)21:30
予想 -0.6% 前回 0.1%(前月比)
予想 0.2% 前回 0.1%(自動車除くコア・前月比)
輸入物価指数(5月)21:30
予想 -0.2% 前回 0.1%(前月比)
予想 0.0% 前回 0.1%(前年比)
鉱工業生産指数(5月)22:15
予想 0.1% 前回 0.0%(前月比)
設備稼働率
予想 77.8% 前回 77.7%
企業在庫(4月)23:00
予想 0.0% 前回 0.1%(前月比)
NAHB住宅市場指数(6月)23:00
予想 36  前回 34
EU環境相会合
イスラエル・パレスチナ2国家共存国際会議(NY国連本部、20日まで)
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 きょうのNY為替市場、ドルは下に往って来いの展開が見られ、ドル円は序盤に一時
143円台に下落したものの、終盤にかけて145円付近まで買い戻される展開。中東
情勢については、イランが停戦を促しているとの報道もあり、先週の警戒感は一服。原
油相場も下落。イランの原油輸出インフラに損害が出ていないことや、イランがホルム
ズ海峡の閉鎖を行っていないこともサポートとなっていた模様。
 円については、先週金曜日に米商品先物協会(CFTC)が発表したIMM投機筋の
建玉報告によると、円ロングは減少していたが、それでもなお記録的な水準にある。今
週はFOMCが控えているほか、明日は日銀決定会合の結果発表も予定されており、ド
ル円は下値でのショートカバーも活発に出るようだ。
 その日銀会合だが、金利は据え置きが確実視されており、焦点は来年4月以降の国債
購入の減額ペースとなっている。現在日銀は、国債の償還に対応した再購入を四半期ご
とに4000億円のペースで減らし、国債保有残高を減らしているが、これを2000
億円ペースの減額に緩めるとの見方がコンセンサスとなっている模様。いまのところ、
超長期債利回りは落ち着いているものの、貿易摩擦のほか、ここに来て中東情勢の緊迫
化に伴う原油高も加わる中、植田総裁は難しい舵取りを余儀なくされそうだ。
 水曜日に結果発表のFOMCについてストラテジストは、FRBは夏場まで金利を据
え置き、関税と地政学リスクの影響を見極める可能性が高いとの見方を示している。パ
ウエル議長は関税と中東紛争の両方から生じるリスクに警戒的な姿勢を維持する可能性
が高いという。
 FRBは関税が経済に下振れリスクをもたらすと見ているが、そうした弱さはデータ
にはまだ表れておらず、インフレも落ち着いていると述べている。同ストラテジスト
は、成長とインフレの基調が緩やかになるとの基本シナリオに基づき、最終的には利下
げに移行すると予想。今年終盤に1回、あるいは2回の利下げを予想しているという。
 ユーロドルは、一時1.16ドル台を回復する場面も見られたものの、1.15ドル
台半ばに戻す展開。アナリストからは中東情勢の緊迫化で原油価格がさらに上昇するよ
うなら、ユーロドルの上昇余地には限界があるとの見方が出ている。イスラエルとイラ
ンの紛争を受けた原油価格高騰により、ユーロドルの一段高の余地は限定的となると指
摘。ユーロ圏のエネルギー輸入依存度が上値を抑える要因だという。
 また、紛争開始前の1.16ドル台への上昇は、過去の誤評価のピークに照らしても
割高な水準だという。同アナリストのモデルでは、ユーロドルの短期的な適正価値は
1.10ドルをやや下回る水準と推定。さらに今後数日のユーロドルの動きは、原油市
場のボラティリティーとドル相場の動向に大きく左右される可能性が高いとも付け加え
た。
 ポンドドルは終盤に伸び悩んだものの、1.36ドル台を一時回復するなど高値圏を
維持している。21日線の上もしっかりと維持しており、上昇トレンドは継続。
 英中銀は今週、政策委員会(MPC)を開催するが、金利据え置きが確実視されてい
る。先週の英雇用統計は英労働市場の減速を示したにもかかわらず利下げを見送り、慎
重姿勢も強調すると見られているようだ。積極的に利下げを進めるECBと、利下げを
停止しているFRBの間で、英中銀は中間的な立場を維持しようとしているという。
 英中銀はFRB同様に、政府の政策変更によって再び高まったインフレが長期化する
可能性を懸念している。特に、過去に一時的とされたインフレがそうではなかったとい
う苦い経験が、家計と企業の警戒感を高めているからだという。
MINKABU PRESS