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2025年09月12日(金)05時31分

NY外為市況=ドル安が強まる

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日本時間午前5時31分現在での主要通貨は以下の通り。
           直近値 前日のNY17時比 高値 / 安値
ドル・円  147.16 - 0.30 (- 0.20%) 148.17 / 146.99
ユーロ・ドル 1.1738 + 0.0043 (+ 0.37%) 1.1746 / 1.1662
ポンド・ドル 1.3577 + 0.0048 (+ 0.35%) 1.3583 / 1.3494
ドル・スイス 0.7957 - 0.0035 (- 0.44%) 0.8006 / 0.7949
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<きょうの材料>
※経済指標
*米消費者物価指数(CPI)(8月)21:30
結果 0.4%
予想 0.3% 前回 0.2%(前月比)
結果 2.9%
予想 2.9% 前回 2.7%(前年比)
結果 0.3%
予想 0.3% 前回 0.3%(コア・前月比)
結果 3.1%
予想 3.1% 前回 3.1%(コア・前年比)
*米新規失業保険申請件数(9月6日週)21:30
結果 26.3万人
予想 23.5万人 前回 23.6万人(23.7万人から修正)
*ECB中銀預金金利 21:15
結果 2.00%
予想 2.00% 前回 2.00%
※発言・ニュース
*米30年債入札結果
最高落札利回り 4.651%(WI:4.651%)
応札倍率    2.38倍(前回:2.27倍)
*米財政収支、8月は3448億ドルの赤字
 8月の米財政収支は3448億ドルの赤字となった。予想は3400億ドルの赤字だ
った。歳入は前年同月比12.3%増の3443億ドル、歳出は0.4%増の6891
億ドル。今会計年度のこれまでの財政収支は1.973兆ドルの赤字。前年度はこの時
期までに1.897兆ドルの赤字だった。
*米家計の純資産、第2四半期に回復 株高が押し上げ
 FRBが発表したデータによると、第2四半期の米家計の純資産は前期比7.1兆ド
ル増加し、176.3兆ドルに達した。株高が資産価値を押し上げており、米国人が保
有する株式の価値は5.5兆ドル増加した。不動産の価値も上昇。
*ベッセント財務長官
 ベッセント財務長官は次期FRB議長候補の最終リストに1、2人加える方向だと伝
わった。米CNBCが関係者による情報として報じた。長官は今週、ウォーシュ、リン
ゼー元FRB理事、ブラード前セントルイス連銀総裁と面談したという。
*ラトニック商務長官
 ラトニック米商務長官が米CNBCの番組で、米国は日本が資金拠出するプロジェク
トからの利益を、日本が投資資金を回収するまで折半すると述べた。日本が投資額を回
収した後は、利益配分が変わり、米国が90%を受け取り、日本は10%に留まるとい
う。
*米NOAA気象予報センター ラニーニャの発生確率を71%に引き上げ
 米海洋大気庁(NOAA)の気象予報センターは、現在のエルニーニョ・南方振動現
象(ENSO)の中立期から10-12月にかけてラニーニャに移行する確率を71%
に引き上げた。NOAAは、北米マルチモデルアンサンブルの全モデルが、ラニーニャ
が発生し、冬季まで継続すると予測していると述べている。
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<明日の材料と事前予想>
【日本】
鉱工業生産(確報値)(7月)13:30
予想 -1.6% 前回 -1.6%(前月比)
予想 -0.9% 前回 -0.9%(前年比)
設備稼働率
予想 N/A 前回 -1.8%(前月比)
【英国】
鉱工業生産指数(7月)15:00
予想 0.2% 前回 0.7%(前月比)
予想 0.1% 前回 0.2%(前年比)
製造業生産高(7月)15:00
予想 0.2% 前回 0.5%(前月比)
予想 1.8% 前回 0.0%(前年比)
商品貿易収支(7月)15:00
予想 -218.00億ポンド 前回 -221.56億ポンド
貿易収支
予想 -40.50億ポンド 前回 -50.15億ポンド
【ユーロ圏】
ドイツ消費者物価指数(確報)(8月)15:00
予想 0.1% 前回 0.1%(前月比)
予想 2.2% 前回 2.2%(前年比)
調和消費者物価指数(HICP)
予想 0.1% 前回 0.1%(前月比)
予想 2.1% 前回 2.1%(前年比)
【カナダ】
住宅建設許可(7月)21:30
予想 3.5% 前回 -9.0%(前月比)
【米国】
ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)(9月)23:00
予想 58.1 前回 58.2
レーン・フィンランド中銀総裁が金融政策および経済見通しについて講演
コッハー・オーストリア中銀新総裁が最新経済予測公表
ロシア・ベラルーシ合同軍事演習(16日まで)
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 きょうのNY為替市場、この日の米経済指標を受けてドル安が強まった。ドル円は一
時146円台を付ける場面も見られた。注目されていた8月の米消費者物価指数(CP
I)は、総合指数で前月比0.4%上昇と予想を上回った。前日の生産者物価指数(P
PI)とは違い、FRBの利下げ期待を後退させる内容ではあるものの、逆に市場は利
下げ期待を強めている。
 同時に発表になった米新規失業保険申請件数が予想以上に大幅に増加し、先週からの
雇用への不安を正当化する内容となった。市場はむしろ、そちらに敏感に反応している
模様。短期金融市場では年内3回の利下げ確率を完全に織り込む動きが見られている。
 円相場は10月4日の自民党の総裁選の行方も注視している。本日も東京時間に円安
がドル円を押し上げていた。総裁選で高市氏が出馬の意向を固めたと報じられたことが
きっかけ。円と日本国債の方向性は総裁選の結果次第との声まで出ている。日銀による
利上げが遅れるのではとの観測も広がっているようだ。
 新総裁によっては拡張的な財政政策が予想され、それは日本国債にとってはマイナス
となり、円安シナリオと見られているが、日本株にとっては成長を促す環境となるとの
期待も出ている。
 一部からは、ドル・ユーロ・円の間で、ここ数日以内に「何かが起こるような気配が
ある」との声が出ている。ヘッジファンドやストラテジストの間では、円こそが上方向
にブレイクアウトする最有力候補と見られているという。ただ来週のFOMCで、委員
の年内の金融政策姿勢を確認するまでは動きにくい状況が続く可能性も指摘していた。
 ユーロドルは買いが優勢となり、1.17ドル台半ばまで上昇する場面も見られた。
この日の米経済指標を受けやドル安がユーロドルを押し上げている。一方、ユーロ円は
173円台に一時上昇したものの、ドル円が失速していることから、172円台に伸び
悩む展開。
 本日はECB理事会が開催され、大方の予想通りに政策は据え置かれた。据え置きは
2会合連続。米国による大幅な関税引き上げにもかかわらず、インフレ圧力は抑制さ
れ、経済も堅調と判断した。今後についてのガイダンスは示さず、入手するデータ次第
の姿勢を強調している。
 ラガルド総裁は一部で期待されていた明確なインフレへの勝利宣言はしなかったもの
の、「ユーロ圏の経済成長に対するリスクはより均衡し、ディスインフレの進行は終了
した」と述べた。これを受けて短期金融市場では、利下げサイクルは終了した公算が大
きいとの見方を織り込みつつあり、来年末まで金利は据え置かれるとの見方を支持して
いる。発表前までは、来年半ばまでに1回の追加利下げが織り込まれていた。
 ポンドドルも買い優勢となり、1.35ドル台後半に上昇。今年の5月以降強い上値
抵抗となっている1.36ドルの水準にはなお慎重なものの、底堅さは堅持している。
一方、ポンド円は一旦200円台を回復したものの、ドル円が失速したことから、その
水準を維持できていない。200円の水準は昨年後半以降、強い上値抵抗となっている
が、なおその抵抗は健在なようだ。
 アナリストからは、11月26日にリーブス財務相が公表する秋季予算案を控え、英
財政への懸念から、ポンドは当面上値が重いままの可能性もあるとの見方が示されてい
る。
 ポンドは最近、英長期債が先週の売り圧力から持ち直し、利回りの上げ一服を受け
て、対ユーロで上昇。長期債の売り圧力に対するポンドの感応度はユーロやドルと比べ
て高い中、予算案の発表にはリスクが残るという。ただし、英国債が安定している局面
で、英中銀が利下げに慎重姿勢を示していることから、短期債利回りは高止まりしてお
り、現時点でポンドを売り込むのは理に適わないとも述べた。
MINKABU PRESS