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2025年04月12日(土)05時33分

NY外為市況=143円台半ば

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日本時間午前5時32分現在での主要通貨は以下の通り。
           直近値 前日のNY17時比 高値 / 安値
ドル・円  143.54 - 0.91 (- 0.63%) 144.64 / 142.07
ユーロ・ドル 1.1351 + 0.0150 (+ 1.34%) 1.1473 / 1.1191
ポンド・ドル 1.3070 + 0.0100 (+ 0.77%) 1.3145 / 1.2968
ドル・スイス 0.8148 - 0.0093 (- 1.13%) 0.8259 / 0.8099
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<きょうの材料>
※経済指標
*米生産者物価指数(PPI)(3月)21:30
結果 -0.4%
予想 0.2% 前回 0.1%(0.0%から修正)(前月比)
結果 2.7%
予想 3.3% 前回 3.2%(前年比)
結果 -0.1%
予想 0.3% 前回 0.1%(-0.1%から修正)(コア・前月比)
結果 3.3%
予想 3.6% 前回 3.4%(コア・前年比)
ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)(4月)23:00
結果 50.8
予想 54.2 前回 57.0
※発言・ニュース
*カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁
・関税はインフレを押し上げ、経済活動を押し下げる。
・インフレ抑制を優先すべき。
・FRBは本当に必要とされる場合にのみ介入すべき。
・FRBはインフレ対策を完遂する必要がある
・ドル安は投資家の選好のシフトを示唆。
・最新のCPIの陰には多くの朗報がある。
・関税はインフレが再び上昇することを示唆。
・民間信用にシステミック・リスクは生じていない。
*コリンズ・ボストン連銀総裁
・関税引き上げは経済に大きな影響を与える
・米中間の関税引き上げを非常に懸念。
・企業は様子見の姿勢を強めている。
・成長は鈍化するが、大幅な景気後退はないというのが最もあり得るシナリオ。
・今年のインフレは3%を大幅に上回ると予想。
*コリンズ・ボストン連銀総裁
・金融市場が混乱状態に陥った場合、FRBは間違いなく金融市場の安定化を支援する
準備がある。市場は引き続きうまく機能しており、全体的な流動性懸念は見られないと
述べた。
*ウィリアムズNY連銀総裁
・現在の金利スタンスは適切。
・長期的なインフレ期待は安定している。
・2025年のGDPは1%をやや下回る水準まで減速を予想。
・重要な問題はインフレ上昇が来年まで波及するかどうか。
・今後1年間の失業率は4.5-5.0%に達すると予想。
・関税で今年のインフレは3.5~4.0%に上昇する見通し。
・インフレ期待が適切に定着することが重要。
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<月曜日の材料と事前予想>
【中国】
貿易収支(3月)時刻未定
予想 720.0億ドル 前回 1046.4億ドル(ドル建て)
【日本】
鉱工業生産(確報値)(2月)13:30
予想 2.5% 前回 2.5%(前月比)
予想 0.3% 前回 0.3%(前年比)
予想 4.5% 前回 4.5%(設備稼働率・前月比)
衆議院予算委員会、トランプ関税措置めぐり集中審議
NY連銀インフレ期待(3月)
ウォラーFRB理事、米証券アナリスト(CFA)協会で米経済見通しについて講演(質疑応
答あり)
ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、連邦準備制度(FRS)の役割について講演(質
疑応答あり)
EU外相理事会
OPEC月報
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 きょうのNY為替市場、ドル円は買い戻しが優勢となり、一時144円台を回復し、
本日の下げの大半を取り戻す展開も見られていた。貿易戦争への懸念は依然として継続
しており、投資家の警戒感も強い。ただ、週末ということもあり、本日はひとまず警戒
感が一服していた印象。
 午後になってコリンズ・ボストン連銀総裁の発言をきっかけに、米株式市場とともに
ドル円も上げを加速させていた。総裁は「金融市場が混乱状態に陥った場合、FRBは
間違いなく安定化を支援する準備がある」とインタビューで述べていた。市場ではトラ
ンプ大統領の保護主義政策で、投資家の米国離れが指摘されており、特に米国債やドル
が不安定な動きをしている。
 ドル円は下げ過ぎ感も高まっている中、本日は買い戻しが活発化していたようだ。今
週の動きでショートを形成した投資家も多いと思われるが、土日に何があるかわからな
いので、ポジションを軽くしておきたい意向もあったと思われる。日曜日にEUの貿易
担当委員がワシントンを訪問し、月曜日に米当局者と協議を行う予定とも伝わってい
る。
 しかし、本日のドル円は一時142円台前半まで下げ幅を拡大させ、昨年9月以来の
安値水準に下落していた。ドルへの信頼感が揺らぐ中、下値サポートとなっていた14
4円をあっさりと割り込み、目先は心理的節目の140円と昨年9月安値の139.6
0円を視野に入れそうな気配は出ている。
 ユーロドルはNY時間に入って伸び悩んだものの、一時1.14ドル台半ばまで上昇
し、2022年2月以来の高値水準に上昇していた。ユーロは対ドルのみならず、対ポ
ンドでも上昇を鮮明にしている。
 ECBの追加利下げへの期待は根強いものの、いまの為替市場の焦点は金利動向には
なく、トランプ大統領の保護主義に端を発したドル離れにありそうだ。その意味ではド
ルに代わり得る通貨と言えば、準備通貨で第2位のユーロが有力ということになる。ド
イツのクキース財務相はトランプ大統領の貿易政策は世界貿易におけるユーロの影響力
を高める好機だと主張していた。同財務相は、ユーロの役割を強化するために、インド
ネシアやマレーシアなどの国々との自由貿易協定の協議を加速させることを提案してい
る。
 世界の外貨準備における現在のドルの割合は6割程度で、続いてユーロが2割程度と
なっている。ドルが1位の座から陥落することは無いと思われるが、今回の騒動をきっ
かけに、その割合には変化が出る可能性は皆無ではなさそうだ。
 ポンドドルはNY時間に入って1.30ドル台に伸び悩む展開。ただ、ドル安の動き
が続いている中、ロンドン時間には一時1.31ドル台半ばまで上昇し、4日続伸とな
っている。目先は4月3日の直近高値1.32ドルが上値メドとして意識される。
 本日は2月の英月次GDPが発表になり、前月比0.5%のプラス成長と予想外に強
い内容となった。これを受けてエコノミストからは、英経済は第1四半期に前期比0.
6%の大幅な成長を遂げる可能性が指摘されている。ただし、トランプ関税による英国
の貿易赤字拡大と不確実性の高まりにより、現在の成長ペースが持続する可能性は低い
とも見ている。
 英中銀にとって今回の数字は、より迅速な緩和を検討する必要性を当面は低減させ
る。英中銀は四半期ごとに金利を引き下げ、次回は5月に0.25%ポイントの引き下
げを行うと予想しているようだ。
MINKABU PRESS