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2025年04月10日(木)05時45分

NY外為市況=一時148円台に急伸

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日本時間午前5時44分現在での主要通貨は以下の通り。
           直近値 前日のNY17時比 高値 / 安値
ドル・円  147.74 + 1.47 (+ 1.00%) 148.27 / 144.00
ユーロ・ドル 1.0947 - 0.0011 (- 0.10%) 1.1095 / 1.0914
ポンド・ドル 1.2826 + 0.0061 (+ 0.48%) 1.2864 / 1.2744
ドル・スイス 0.8572 + 0.0094 (+ 1.11%) 0.8583 / 0.8360
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<きょうの材料>
【米国】
*卸売在庫(確報値)(2月)23:00
結果 0.3%
予想 0.4% 前回 0.3%(前月比)
*米週間石油在庫統計(バレル・前週比)23:30
原油 +255.3万(4億4235万)
ガソリン -160万(2億3598万)
留出油  -354.4万(1億1108万)
(クッシング地区)
原油 +68.1万(2576万)
*()は在庫総量
*トランプ大統領
・報復を行わない国々に対して90日間の猶予を認める。
・中国への関税を現行の104%から125%に引き上げる。即時実施。
*トランプ大統領、今こそ買い時
 トランプ大統領は米株式市場が急落する中、「今こそ買い時だ」と自身のソーシャル
メディアプラットフォームであるトゥルース・ソーシャルへの投稿で述べた。別の投稿
でも「すべてうまくいく」と述べている。
*FOMC議事録
・大半がインフレはより長期化する可能性があると発言。
・インフレが長期化した場合、困難なトレードオフに直面する可能性。
・政策に不確実性がある中、慎重なアプローチが適切。
・関税により、今年インフレが加速する可能性が高い。
(スタッフ)
・3月の委員会で、実質GDPの弱含みを予測。
・政府の政策の想定に重大な変更を加えなかった。
・2025年のインフレがより高くなると予測。
・その主な要因は関税。
・一部からスタグフレーションのリスクが指摘される。
*米10年債入札結果
最高落札利回り 4.435%(WI:4.465%)
応札倍率    2.67倍(前回:2.59倍)
*カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁
・関税はインフレを引き起こし、FRBが利下げを行う可能性は低い。
・関税がインフレを押し上げ、利下げが難しくなる。
・FRBの優先事項は長期的なインフレ期待を抑制。
・通商政策の不確実性や予想以上の景気後退が、自身の見通しを変更させる可能性。
*バーキン・リッチモンド連銀総裁
・関税による価格高騰が6月までに始まる可能性。
・企業は自信喪失に苦しんでいる。
・価格高騰によりFRBは慎重な対応が必要。
・関税はインフレにも雇用にも打撃を与えると想定。
・消費者は依然として支出はしているが、われわれはそれを注視している。
・景気後退の引き金となるのは、幅広い観点からの物事の変化。
・株価の調整は消費者の支出減少にはつながらない。
*ベッセント財務長官
・90日間の停止はトランプ大統領が関与を望んでいるため。
・解決にはそれぞれ時間がかかる。
・各国からの連絡で関税変更が行われた。
・関税について本日まで待つというトランプ大統領の決断だった。
・関税交渉については全てが選択肢にある。
・市場はトランプ大統領の最高水準の関税を理解していなかった。
・現在、10%の一時的な下限にある。
・中国がやっていることは自国の経済により大きな影響を与えるだろう。
・これは大統領の戦略によるもの。
・債券市場への影響は否定する。
・本日はベトナムとの交渉が良い方向に進むことを期待。
・トランプ大統領の当初の関税は上限と説明。
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<明日の材料と事前予想>
【日本】
国内企業物価(3月)08:50
予想 0.2% 前回 0.0%(前月比)
予想 3.9% 前回 4.0%(前年比)
【中国】
生産者物価指数(PPI)(3月)10:30
予想 -2.3% 前回 -2.2%(前年比)
消費者物価指数(CPI)(3月)10:30
予想 0.1% 前回 -0.7%(前年比)
【米国】
消費者物価指数(CPI)(3月)21:30
予想 0.1% 前回 0.2%(前月比)
予想 2.6% 前回 2.8%(前年比)
予想 0.3% 前回 0.2%(食品・エネルギー除くコア・前月比)
予想 3.0% 前回 3.1%(食品・エネルギー除くコア・前年比)
新規失業保険申請件数(03/30 - 04/05)21:30
予想 22.4万件 前回 21.9万件
【カナダ】
住宅建設許可(2月)21:30
予想 -0.5% 前回 -3.2%(前月比)
独連銀月次報告書
ローガン・ダラス連銀総裁が講演
グールズビー・シカゴ連銀総裁が講演
ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁がイベント出席
EU・ウクライナ・ビジネスサミット「ウクライナ経済回復を牽引するEUの支援」(11日
まで)
テスラ、サウジアラビアでEVの販売開始
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 きょうのNY為替市場はドル買いが加速し、ドル円は145円付近から急上昇した。
トランプ大統領が、米国に対して報復措置を講じていない国・地域に対して、90日間
の関税一時停止を承認した。これを受けて、株急騰とともにドルも買い戻しが強まり、
ドル円も急上昇した格好。
 その流れの中で今度はFOMC議事録が公表され、委員の大半がインフレはより長期
化する可能性があると発言していたことが明らかになると、ドルはさらに買い戻しを加
速。ドル円はストップを巻き込んで一気に148円台に急伸している。
 一部からは、トランプ大統領の保護主義政策により、長期的にドルの準備通貨として
の地位が脅威にさらされる可能性があると指摘が出ている。各国中銀や大手企業は目先
はドルを買い集める可能性がある一方で、今後はドル建ての請求書を減して来る可能性
があるという。これは長期的にドルへの依存度を減らし、準備通貨としての地位を弱め
ることになるとしている。ただ、本日のトランプ大統領の発表で、それについてはひと
まず後退していたようだ。
 ユーロドルは一時1.11ドルをうかがう展開も見られていたが、トランプ大統領の
発表で後半に伸び悩む展開。ただ、21日線の上はしっかりと堅持し、1月からの上昇
軌道を維持している。
 一方、今回のトランプ関税の脅威と市場の不安定化で、市場はECBの利下げ期待を
高めている。来週のECB理事会での利下げをほぼ完全に織り込んでいるほか、ECB
は来年にかけて想定以上に利下げを実施する可能性も指摘されている。
 ECBは1月の月報でユーロ圏の中立金利は1.75-2.25%程度を推計してい
ると発表し、市場も今回の利下げサイクルのターミナルレート(最終到達点)をその水
準を想定。しかし、関税を巡る混乱で1.50%までの利下げもあり得るとし、リセッ
ション(景気後退)の可能性が浮上すれば、1.00%までの景気配慮型の緩和政策も
視野に入るという。
 ポンドドルは1.28ドル台に買い戻された。トランプ大統領の発表でドルの買い戻
しが強まったが、それ以上にポンドが買い戻され、ポンドドルは逆に上昇の反応を示し
た。関税の90日間猶予については高水準の相互関税がかかっている国、地域に対し
て、ベースである10%に当面は下げる内容。英国は最初から10%であることから、
実質的な変化はない。ただ、これにより、リセッション(景気後退)への警戒が後退し
ていることや、債券市場が買い戻され、英国債も落ち着いており、ポンド買いを誘発し
ていたようだ。
 ポンドのドライバーは最近のセッションで著しく進化しており、再び高ベータ通貨と
して取引されているとの指摘が出ている。それは貿易摩擦のエスカレートに伴うリスク
に一部依存することになるという。
MINKABU PRESS