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2025年06月07日(土)05時31分

NY外為市況=一時145円台に上昇

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日本時間午前5時30分現在での主要通貨は以下の通り。
           直近値 前日のNY17時比 高値 / 安値
ドル・円  144.81 + 1.28 (+ 0.89%) 145.09 / 143.45
ユーロ・ドル 1.1397 - 0.0048 (- 0.42%) 1.1457 / 1.1372
ポンド・ドル 1.3529 - 0.0041 (- 0.30%) 1.3585 / 1.3508
ドル・スイス 0.8222 + 0.0027 (+ 0.33%) 0.8248 / 0.8191
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<きょうの材料>
【米国】
*非農業部門雇用者数(NFP)(5月)21:30
結果 13.9万人
予想 12.6万人 前回 14.7万人(17.7万人から修正)
*失業率(5月)
結果 4.2%
予想 4.2% 前回 4.2%
*平均時給(5月)
結果 0.4%
予想 0.3% 前回 0.2%(前月比)
結果 3.9%
予想 3.7% 前回 3.9%(3.8%から修正)(前年比)
【カナダ】
*雇用者数増減(5月)21:30
結果 0.88万人
予想 -1.10万人 前回 0.74万人(前月比)
失業率
結果 7.0%
予想 7.0% 前回 6.9%
*トランプ大統領
・FRBの対応は「手遅れ」。大惨事になる。
・パウエル議長に1%ポイントの引き下げを主張。
・パウエルは「莫大な費用」を米国に負担させている。
・借入コストはもっと低くすべき。
・インフレが再燃したら、金利を引き上げればよい。
*次の米中協議は6月9日
 トランプ大統領は、次の米中協議は6月9日(月)にロンドンで行われると述べた。
ベッセント財務長官らがロンドンで中国側と協議するとしている。
*ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁
・5月の米雇用統計は堅調だった。
・企業は政策の確実性を求めているが、得られていない。
・FRBの政策は適度に緊縮的。
・先制的な措置を講じることは誤り。
・FRBの独立性について非常に懸念している。
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<明日の材料と事前予想>
【日本】
実質GDP2次速報値(第1四半期)08:50
予想 -0.2% 前回 -0.2%(前期比)
予想 -0.7% 前回 -0.7%(前期比年率)
GDPデフレータ
予想 3.3% 前回 3.3%(前年比)
経常収支(4月)08:50
予想 26500億円 前回 36781億円
予想 25000億円 前回 27231億円(季調済)
貿易収支
予想 -1400億円 前回 5165億円
【中国】
生産者物価指数(PPI)(5月)10:30
予想 -3.0% 前回 -2.7%(前年比)
消費者物価指数(CPI)(5月)10:30
予想 -0.2% 前回 -0.1%(前年比)
NY連銀インフレ期待(5月)
アップル年次開発者会議「WWDC」(13日まで)
英国最大スタートアップイベント「London Tech Week 2025」(13日まで)エヌビディ
アCEO参加
国際原子力機関(IAEA)定例理事会(13日まで)
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 きょうのNY為替市場、ドル高が強まり、ドル円は一時145円台を付ける場面も見
られた。この日発表の5月の米雇用統計を受けて安心感が広がっている。米労働市場の
鈍化を示す内容ではあったものの、今週発表のADP雇用統計が予想外の弱さを示して
いたことから、米雇用統計にも警戒感が高まっていた。
 ただ、非農業部門雇用者数(NFP)は13.9万人増と予想を上回り、前回の下方
修正分と併せると、雇用情勢の軟化を示す内容ではあるが、失業率は4.2%と前回水
準を維持し、平均時給が予想を上回る伸びを示すなど、底堅さは堅持している印象。
 市場ではFRBの年内利下げ期待を後退させており、年内2回の利下げ期待は後退し
ている。短期的にはドルショートがかなり積み上がっていることから、今月17、18
日のFOMCに向けてドルの買い戻しが出易い状況にはある。
 本日の米雇用統計を受けた動きから、オプション市場では円への強気姿勢が3月下旬
の水準まで縮小している。トレーダーは依然としてドル円の下落に高いプレミアム(オ
プション料)を支払っていはいるものの、5月20日以降縮小傾向にある。本日の米雇
用統計が米景気の減速懸念を和らげたことで米国債利回りが上昇し、円などの安全資産
通貨の魅力が低下したことが背景にある。
 ユーロドルは1.13ドル台に一時下落。本日の21日線が1.13ドルちょうど付
近に来ていたが、目先のその水準が下値メドとして意識されそうだ。
 前日のECB理事会は予想通りに0.25%ポイントの利下げを実施したが、ラガル
ド総裁は今回の利下げサイクルは完了に近いとの認識を示していた。市場では、ECB
のインフレや成長見通しの下方修正から、あともう1回の追加利下げがあるのではとの
見方で意見が分かれている状況。
 一方、ECBは利下げサイクル終了に向けたサインを出し始めたが、エコノミストか
らは、関税でユーロ圏経済は早期に打撃を受ける可能性があるのとの警告も出ていた。
この日発表された4月のドイツ貿易収支は予想を下回る黒字となっていた。トランプ関
税が始まった4月に対米輸出が急減したことが打撃となり、第1四半期に見られた駆け
込み需要による対米輸出増加を一転させている。ユーロ圏における純輸出が予想以上に
早く減少に転じ、第2四半期の成長をすでに押し下げている可能性を示唆しているとい
う。
 ポンドドルも1.35ドル台前半に下落。ただ、前日は1.36ドル台まで上昇し、
2022年2月以来の高値を更新するなどポンドは力強い動きを見せている。
 英経済が比較的堅調な兆候を示しており、英中銀も利下げを急いでいないことから、
最近のポンドは力強い動きが続いている。そのような中、来週の英雇用統計と月次GD
Pはポンドにとって重要な試金石となる可能性がある。
 来週12日木曜日の4月の月次GDPは労働コスト上昇が企業に打撃を与える中、第
2四半期の減速の始まりを示唆する可能性が見込まれ、前月比0.1%のマイナス成長
が見込まれている。一方、10日火曜日の2-4月の英雇用統計は失業率の上昇が見込
まれ、週平均賃金(除く賞与)も前回から伸び鈍化が見込まれている。それでも5%台
ではある。ただ、減速を示す内容だったとしても、英経済は十分な備えを整えており、
関税の影響を乗り切れると予想されているようだ。
MINKABU PRESS