経済ニュース

<< 一覧に戻る

2024年11月08日(金)06時33分

NY外為市況=152円台に下落

--------------------------------------
日本時間午前6時32分現在での主要通貨は以下の通り。
           直近値 前日のNY17時比 高値 / 安値
ドル・円  152.91 - 1.72 (- 1.11%) 154.71 / 152.70
ユーロ・ドル 1.0802 + 0.0073 (+ 0.68%) 1.0825 / 1.0713
ポンド・ドル 1.2985 + 0.0106 (+ 0.82%) 1.3009 / 1.2871
ドル・スイス 0.8722 - 0.0044 (- 0.50%) 0.8774 / 0.8710
------------------------------------
<きょうの材料>
※経済指標
【米国】
*非農業部門労働生産性(第3四半期・速報値) 22:30
結果 2.2%
予想 2.5% 前回 2.1%(2.5%から修正)(前期比)
*単位労働コスト(第3四半期・速報値)
結果 1.9%
予想 1.0% 前回 2.4%(0.4%から修正)(前期比)
*米新規失業保険申請件数(11月2日週)22:30
結果 22.1万人
予想 22.2万人 前回 21.8万人(21.6万人から修正)
*FRB政策金利
結果 4.50~4.75%
予想 4.50~4.75% 前回 4.75~5.00%
【英国】
英中銀政策金利(11月)21:00
結果 4.75%
予想 4.75% 前回 5.00%
※発言・ニュース
FOMC声明
・インフレに関する「自信深めた」の文言は削除。
・目標達成のリスクは引き続き概ね均衡。
・労働市場の状況は全般に緩和された。
・インフレは2%目標に向かって前進。
・失業率は上昇したが、依然低水準。
・追加調整に関するデータを評価へ。
・採決は全会一致。
*パウエル議長
・労働市場の状況は堅調を維持。
・ハリケーンやストライキがなければ雇用はやや増加。
・経済は全体的に好調。
・個人消費の伸びは底堅さを維持。
・短期的に選挙は政策に影響を与えない。
・財政政策変更の時期や内容はわからない。
・財政政策を推測、憶測、想定することはない
・インフレは2%目標にかなり近づいた。
・コアインフレはやや高めのまま。
・今後も会合ごとに決定を下す。
・削除した文言は利下げ開始に伴うものだった。
・今回の利下げを考慮しても、政策は依然抑制的。
・利下げペースの調整について検討を始めたばかり。
・中立金利の実現を急いでいない。
・中立接近に伴い、利下げ減速が適切になる可能性。
・トランプ氏から求められてもFRB議長辞任しない。
・期待インフレが高めに固定されるなら心配。
・期待インフレは2%と一致しているようだ。
*ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁
・米国の関税はEU経済に悪影響を与える。
・トランプ氏の政策計画を見守る必要がある。
-----------------------------------
<明日の材料と事前予想>
【日本】
景気先行指数(速報値)(9月)14:00
予想 109.1 前回 106.9
景気一致指数
予想 115.5 前回 114.0
【カナダ】
雇用者数増減(10月)22:30
予想 4.0万人 前回 4.67万人(前月比)
失業率
予想 6.5% 前回 6.5%
【米国】
ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)(11月)9日0:00
予想 70.6 前回 70.5
ピル英中銀チーフエコノミスト、金融政策について説明
マルティン・スイス中銀副総裁、ECB短期金融市場会議出席
ボウマンFRB理事、銀行について講演(質疑応答あり)
-----------------------------------
 きょうの為替市場はドルの戻り売りが強まり、ドル円は152円台に下落。米大統領
選でトランプ氏が勝利したことで前日はドル買いが強まったが、やり過ぎとの批判もあ
り、過熱感も指摘されている。ファンダメンタルズからは、ここまでドルが買われる理
由もなく、期待先行との冷やかな見方もあるようだ。これまでのトランプトレードでド
ルロングがかなり積み上がっている面もあり、目先は利益確定の動きも留意される。た
だ、基本的にはドル高の流れに変化はないと見られている。
 午後にFOMCの結果が公表。市場の予想通りに0.25%ポイントの利下げを発表
したが、市場は12月のヒントを探していた。その意味でも声明やパウエル議長の会見
に注目していたが、声明文からは「インフレが持続的に2%に向かっているというより
大きな確信」という一行が削除され、「雇用の伸びは減速している」との文言も削除さ
れた。ただ、「リスクはおおむね均衡」との文言は維持されている。
 FRBはインフレ再加速をまだ懸念していないことを示唆しているものの、これまで
のように利下げに前向きな雰囲気は後退させている印象もあり、今後はすべてオープン
との姿勢を強調していたようにも思われる。
 パウエルFRB議長も今後も会合ごとに決定を下す意向を示し、入ってくるデータに
柔軟に対応する用意があることを示唆していたのかもしれない。今回のFOMCを受け
て短期金融市場でも、12月の利下げ確率が五分五分になっており、今後の利下げペー
スはより不透明になったようだ。
 なお、トランプ氏について議長は、要求されても議長は辞任しない意向を示してい
た。財政政策やその他については予想通りに具体的な言及を避けている。為替市場の反
応は限定的に留まった印象。
 ユーロドルは買い戻しが強まった。前日は特にユーロドルは急速に下落。一時1.0
6ドル台まで急落する場面も見られていた。さすがに下げ過ぎ感も出ているようだ。た
だ、来年のトランプ政権の復活で欧州経済が打撃を受けるとの見方が広がっている。そ
のため今回の利下げサイクルにおけるECBの利下げ幅は、これまでの想定以上に大き
くなるとの見方がエコノミストから出ている。
 従来は、今回の利下げサイクルのターミナルレート(最終到達点)は2.00-2.
50%を想定していたが、それを0.75%ポイント下方修正し、1.25-1.7
5%を想定しているようだ。来年4月までの全理事会で0.25%ポイントずつ引き下
げ、その上で6月と7-9月、10―12月にも追加利下げを行う可能性があるとい
う。トランプ次期政権による関税導入の可能性を考慮したとしている。
 ポンドドルは買い戻しが強まり、一時1.30ドル台を回復。ドルの戻り売りもさる
ことながら、この日の英中銀の政策委員会(MPC)の結果もポンドを押し上げた。英
中銀は予想通りに政策金利を0.25%ポイント引き下げたが、追加利下げには慎重姿
勢も垣間見せた。
 英中銀は、リーブス英財務相が提示した予算案がインフレを最大0.5%ポイント押
し上げる可能性があると警告したほか、ベイリー総裁は声明で「インフレを目標付近で
確実に維持する必要があるため、あまりに急激な、あるいは大幅な利下げはできない」
と表明している。
 本日のMPCを受けて市場は、今回が今年最後の利下げであると受け止めたようだ。
短期金融市場では12月の利下げの確率を15%程度と、決定前の25%からさらに後
退させている。また、来年の利下げ予想も後退させており、あと2回の利下げは完全に
織り込んでいるものの、3回目については50%程度の確率でしか織り込めていない。
MINKABU PRESS