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2025年05月20日(火)05時33分

NY外為市況=ドル円は144円台後半

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日本時間午前5時32分現在での主要通貨は以下の通り。
           直近値 前日のNY17時比 高値 / 安値
ドル・円  144.85 - 0.85 (- 0.58%) 145.55 / 144.67
ユーロ・ドル 1.1242 + 0.0079 (+ 0.71%) 1.1288 / 1.1157
ポンド・ドル 1.3359 + 0.0076 (+ 0.57%) 1.3404 / 1.3245
ドル・スイス 0.8346 - 0.0030 (- 0.36%) 0.8419 / 0.8319
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<きょうの材料>
【米国】
*米景気先行指数(4月)23:00
結果 -1.0%
予想 -1.0% 前回 -0.8%(-0.7%から修正)(前月比)
*ウィリアムズNY連銀総裁
・6月に状況を理解できるわけではなく、7月でも同じ。
・データ収集、状況把握、展開を見守るプロセスがしばらく必要。
・不確実性が政策当局者だけでなく、企業や家計も米経済を予測する上で妨げ。
・FRBは最新データを評価する時間的余裕がある。
・インフレが鈍化傾向にあり、経済が完全雇用に近い状態。
・延滞状況と消費支出の意欲を注視。
・FRBの現在の政策設定は適切な位置にある。
*ボスティック・アトランタ連銀総裁
・年内に1回の利下げ予想を繰り返し表明。
・インフレ面について非常に懸念している。
・特に消費者の期待が将来のインフレ方向に動いている。
・不確実性が緩和されるまで金利変更を支持しない意向。
・このプロセスには3-6カ月を要する可能性。
*トランプ大統領
 トランプ大統領はプーチン大統領との電話会談後に、ウクライナとロシアは戦争終結
に向けて「即時に」交渉を開始すると述べた。大統領は投稿で「ロシアとウクライナは
即時に停戦に向けた交渉を開始する。より重要なのは戦争を終結させることだ」と述べ
た。
*トランプ大統領
 トランプ大統領はホワイトハウスでのイベントで、月曜日にロシアのプーチン大統領
との2時間半に及ぶ電話会談を引用し、「その件をすべて解決しようとしている」と述
べた。また、欧州諸国の首脳とも会談したと述べた。
*プーチン大統領
・トランプ大統領との会談は非常に有意義だった。
・トランプ大統領との会談は2時間以上続いた。
・ウクライナとの覚書に停戦条件が含まれる可能性。
・特定の合意が成立すれば停戦は可能と表明。
*ゼレンスキー大統領
・ロシアとの新たな協議に関する明確な見通しが間もなく得られると期待。
・トランプ大統領はウクライナとロシアの直接協議を望んでいる。
・ロシアが要求事項を覚書に盛り込むと述べた。
・その覚書は後日ウクライナと共有される。
・新たな協議にはウクライナ、ロシア、米国、EU、英国が含まれる可能性。
・会談はイスタンブール、バチカン、またはスイスで開催される可能性。
・ウクライナは自国領土から部隊を撤退させない。
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<明日の材料と事前予想>
【中国】
中国最優遇貸出金利(ローンプライムレート)(5月)10:00
予想 3.0% 前回 3.1%(1年)
予想 3.5% 前回 3.6%(5年)
【豪州】
中銀政策金利(5月)13:30
予想 3.85% 前回 4.10%
【ユーロ圏】
ドイツ生産者物価指数(4月)15:00
予想 -0.2% 前回 -0.7%(前月比)
予想 -0.5% 前回 -0.2%(前年比)
ユーロ圏経常収支(3月)17:00
予想 N/A 前回 343億ユーロ(季調済)
ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値)(5月)23:00
予想 -15.5 前回 -16.7
【カナダ】
消費者物価指数(CPI)(4月)21:30
予想 0.4% 前回 0.3%(前月比)
予想 2.3% 前回 2.3%(前年比)
ボスティック・アトランタ連銀総裁が講演
バーキン・リッチモンド連銀総裁が挨拶(質疑応答なし)
ムサレム・セントルイス連銀総裁が講演(質疑応答あり)
中国「民間経済促進法」施行、民間企業の成長促進・中国経済の下支え
EU外相理事会(防衛)
G7財務相中銀総裁会議(カナダ、23日まで)
台北国際コンピューター見本市(COMPUTEX台北)(23日まで)
グーグル開発者会議「Google I/O 2025」(カルフォルニア、21日まで)
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 きょうの為替市場はドル売りが優勢となる中、ドル円も一時144.65円付近に下
落する場面が見られたが、NY時間に入ると下げ渋っている。ただ、145円台に入る
と戻り待ちの売りオーダーも観測され上値は重い印象。
 先週末の金曜日の終了間際に、ムーディーズが米国を格下げしたことがドル安を誘発
している模様。ムーディーズは米国の格付けを最高ランクの「Aaa」から「Aa1」
に引き下げた。この動きはフィッチとS&Pに続く。ムーディーズは声明で、近年にお
ける米連邦債務の急増と、他国よりも高い金利を理由に挙げていた。
 ただ、一部からは「米国の格付け見通しが長期間に渡ってがネガティブウォッチ下に
置かれていた事実や、S&Pとフィッチがすでに同様の措置を講じていることを考慮す
れば、今回の格下げは特に驚くべきことではない」といった見解も出ていた。
 オプション市場では、ドル安を想定したポジションが増えており、ドル離れへの為替
市場の構造変化を予測する動きは根強い。米中協議の進展を受けたリスク選好も一巡
し、市場も次の展開に備えている中、ドル離れへの警戒は根強くあるようだ。その意味
でも、今回のムーディーズの格下げはドルショート勢の背中を押している模様。
 ユーロドルは一時1.12ドル台後半まで上昇する場面が見られた。ただ、NY時間
に入ると伸び悩む展開。米関税が米経済の成長に打撃を与える場合、ユーロドルはさら
に上昇する可能性があるとの指摘がエコノミストから出ている。米関税は米成長に明確
なマイナスの影響を与えるという。
 インフレへの潜在的影響は測定が困難だが、需要の破壊はインフレへの即時的な影響
よりも深刻な影響を及ぼす危険性があるという。米例外主義の終焉と米国資産への信頼
喪失は、ドイツのインフラと防衛支出パッケージとともにユーロを支援するだろうとも
指摘した。
 ポンドは堅調な展開となり、対ドルにみならず対ユーロでも上昇。本日は英国とEU
の首脳会談が行われ、貿易の円滑化と安全保障協力の強化で合意した。5年前の英国の
EU離脱以降で、関係改善に向けた最大の一歩を踏み出したこともポンドを下支えして
いる。
 双方はロンドンで合意を発表し、EU離脱撤回まではないが、双方が長年の対立を克
服したことを示した。ロシアのウクライナ侵攻やトランプ大統領の復帰を受けて、欧州
では結束の強化がますます緊急性を帯びている。
 スターマー英首相は「陳腐な議論や政治的対立を止め、最も英国民のためになる常識
的で実践的な解決策を見出す時だ」と述べた。一方、欧州委員会のフォンデアライエン
委員長は「欧州は団結している」と語った。
MINKABU PRESS