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2025年11月05日(水)06時27分

NY外為市況=153円台に下落

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日本時間午前6時26分現在での主要通貨は以下の通り。
           直近値 前日のNY17時比 高値 / 安値
ドル・円  153.64 - 0.58 (- 0.38%) 154.48 / 153.32
ユーロ・ドル 1.1481 - 0.0039 (- 0.34%) 1.1534 / 1.1473
ポンド・ドル 1.3017 - 0.0123 (- 0.94%) 1.3145 / 1.3010
ドル・スイス 0.8105 + 0.0024 (+ 0.30%) 0.8108 / 0.8067
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<きょうの材料>
主な米経済指標の発表なし。
*ベッセント財務長官
 ベッセント財務長官は、トランプ大統領が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づ
き中国などに関税を課したのは大統領権限の範囲内だと述べた。長官は米CNBCの番
組で「経済学には転換点という概念がある。緊急事態に至る点というものがあると思
う」と述べた。
*米上院、14回目の否決
 米上院は本日も、共和党が提出したつなぎ予算案を採決したが、否決された。これで
14回目。採決結果は賛成54票、反対44票で法案は可決に至らなかった。可決には
60票が必要。この結果、政府閉鎖は本日時点で史上最長記録に並んだ。
*チェイニー元米副大統領が死去 84歳
 チェイニー元米副大統領が3日、肺炎と心臓・血管疾患の合併症で死去した。84歳
だった。家族が声明で発表。湾岸戦争やアフガニスタン戦争、イラク戦争に関与。武力
介入も辞さない強硬な対外政策を唱える共和党ネオコン(新保守派)の代表格だった。
*USスチール、140億ドル規模を米国で投資へ
 日本製鉄傘下になった米USスチール社は、大規模な設備投資および日鉄との技術共
有を盛り込んだ今後の成長方針を示した。本日発表の資料によると、USスチールは米
国における事業拡大投資として、複数年に渡って約140億ドル(約2兆1500億
円)規模を投じる。そのうち110億ドルは2028年末までに投資する。
*ギリシャ中銀総裁
 ECB理事のストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁の講演が伝わり、「金融緩和策が金
融環境の改善に大きく寄与した一方、ユーロ圏の成長見通しには複数の下方リスクが存
在する」と述べた。通商政策を巡る不確実性、国際的な地政学的緊張の長期化、さらに
フランスの政治的不透明感を挙げた。
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<明日の材料と事前予想>
【ユーロ圏】
ドイツ製造業新規受注(9月)16:00
予想 0.8% 前回 -0.8%(前月比)
予想 -4.0% 前回 1.5%(前年比)
ドイツ非製造業PMI(確報値)(10月)17:55
予想 54.5 前回 54.5
ユーロ圏サービス業PMI(確報値)(10月)18:00
予想 52.6 前回 52.6
ユーロ圏生産者物価指数(PPI)(9月)19:00
予想 0.1% 前回 -0.3%(前月比)
予想 -0.1% 前回 -0.6%(前年比)
【英国】
サービス業PMI(確報値)(10月)18:30
予想 51.1 前回 51.1
【米国】
ADP雇用者数(10月)22:15
予想 3.8万人 前回 -3.2万人(前月比)
非製造業PMI(確報値)(10月)23:45
予想 55.2 前回 55.2
コンポジットPMI(確報値)
予想 54.8 前回 54.8
ISM非製造業景気指数(10月)6日0:00
予想 50.8 前回 50.0
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 きょうのNY為替市場、市場全体にリスク回避の雰囲気が広がる中、円高が優勢とな
り、ドル円は153円台に下落した。11月相場に入り、本邦勢も連休から戻る中、利
益確定売りが出ている。
 ただ、積極的に下値を試す動きまではなく、あくまで調整の範囲。155円台を視野
に入れた動きはまだ続いている状況ではある。一部からは、高市首相が自民党総裁に選
出された時点から約7円上昇しているが、首相が円安への対応に消極的と思われること
を踏まえると、ドル円はさらなる上昇余地があり、高市トレードはまだ続く可能性があ
るとの指摘も出ていた。
 155円を超えると介入の声も出てきそうだが、現時点ではその可能性は低いとも見
られている。高市政権は「どちらかと言えば、日本経済全体で見れば円安の方が好まし
い」と考えている節もある。原材料やエネルギー価格が以前よりも落ち着いており、輸
入物価も下落が続いている。急激な動きは別だが、現状は看過できる範囲と見ている可
能性もありそうだ。むしろ、米国の方が神経質に見ているのかもしれない。
 ユーロドルは下値模索が続き、ついに節目の1.15ドルを割り込んだ。ユーロ自体
の動意はなく、専らFRBの利下げ期待の後退を材料にしたドル高がユーロドルを押し
下げている。ECBはすでに利下げサイクルを終了しており、当面は据え置きが予想さ
れている。一方、ユーロ円は円高からの売りが強まり、176円台前半まで下落。きょ
うの下げで21日線を下回った。
 ユーロ圏の経済ファンダメンタルズが堅調であることから、ECBがこれ以上利下げ
を進める可能性は低く、ユーロは回復に向かうとの指摘もアナリストから出ている。ユ
ーロ圏のマクロ経済環境は概ね支援的で、今後もその傾向が続くと見られるという。E
CBは先週の理事会で貿易を巡る不確実性の後退やガザ地区での停戦を背景に、成長に
対する下方リスクが軽減したことを強調した。
 現在、ECBは来年6月まで政策金利を据え置くと見込んでおり、その間にFRBは
利下げを進めると予想している。そのため、ユーロドルは年末までに1.20ドルまで
上昇し、2026年第3四半期には1.26ドルに到達すると予想しているという。
 ポンドドルは下値模索が続き、1.30ドル台半ばまで下げ幅を拡大。年初から今年
7月までの上昇波のフィボナッチ38.2%戻し水準を完全にブレイクしており、その
場合、50%戻しの水準に到達する可能性が高まる。その水準は1.2945ドル付近
にあり、心理的節目の1.30ドルを割り込むことになる。
 一方、本日はポンド円も下げが強まり、200円割れを試す展開。21日線を下放れ
る動きを見せているが、目先は100日線が199円台半ばに来ており意識される。
 リーブス英財務相が財政課題について言及したこともポンドを圧迫。同財務相は、
「高い借入コストへの対応が必要だ」と述べ、「前政権と世界的な貿易摩擦が英経済に
悪影響を与えた」と指摘。この発言を今後の増税の可能性を示唆したと市場は受け止め
た模様。同財務相は、債務削減は次期予算の最優先課題であり、英経済をより持続可能
な基盤に戻すことを目指しているとも述べていた。
MINKABU PRESS