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2025年06月04日(水)05時35分

NY外為市況=一時144円台に戻す

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日本時間午前5時34分現在での主要通貨は以下の通り。
           直近値 前日のNY17時比 高値 / 安値
ドル・円  143.97 + 1.26 (+ 0.88%) 144.11 / 142.38
ユーロ・ドル 1.1372 - 0.0069 (- 0.60%) 1.1455 / 1.1364
ポンド・ドル 1.3520 - 0.0024 (- 0.18%) 1.3559 / 1.3492
ドル・スイス 0.8239 + 0.0065 (+ 0.80%) 0.8248 / 0.8159
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<きょうの材料>
【米国】
*米求人件数(4月)23:00
結果 739.1万人
予想 710.0万人 前回 720.0万人(719.2万人から修正)
*耐久財受注(確報値)(4月)23:00
結果 -6.3%
予想 -6.3% 前回 -6.3%(前月比)
結果 0.2%
予想 0.2% 前回 0.2%(輸送除くコア・前月比)
*製造業新規受注(4月)23:00
結果 -3.7%
予想 -3.1% 前回 3.4%(4.3%から修正)(前月比)
*トランプ政権、各国に貿易交渉の最終提案を明日までに提出するよう要請
 トランプ政権が各国に対して、明日までに貿易交渉の最終提案を提出するよう要請し
ていると伝わった。米国は各国に対し、関税や輸入枠を含む米国製の工業品・農産品購
入の条件、および非関税障壁の緩和策などに関する最良の提案を示すよう求めていると
いう。
*クックFRB理事
 関税がインフレを刺激し雇用を弱める可能性があると指摘。将来の金利調整を検討す
る際には物価安定の重要性を強調している。
*ボスティック・アトランタ連銀総裁
 政策金利の調整を急ぐ必要はないと指摘。このところ良好な物価データを目にしてい
るものの、インフレ面でさらに大きな進展を確認したいとの考えを示した。金融政策に
おける最良のアプローチは辛抱強さだと引き続き考えていると言及。
*OECD、今年の世界経済の見通し下方修正
 OECDは、3日公表した最新の経済見通しで、今年の世界経済の成長率見通しを
2.9%に下方修正した。昨年の3.3%からさらに減速を見込む。日本の成長率も
0.7%と3月時点の1.1%から下方修正。一方、26年は0.2%から0.4%に
引き上げた。米国も3月時点の2.2%から1.6%に下方修正され、来年も1.6%
から1.5%に下方修正された。
*オランダ首相が辞表提出へ
 オランダのスホーフ首相は、与党連立政権からの辞任を申し出る意向を示した。ただ
し、次の政権が決まるまでの間は暫定政権として政権運営を続ける見通し。
*韓国大統領選、李在明候補が勝利
 韓国大統領選で与党の金文洙候補が敗北宣言を行い、野党「共に民主党」の李在明候
補の当選が確定した。韓国の中央選挙管理委員会によると、投票率は79.4%と19
97年以降で最高だった。
*プーチン大統領、米・ウクライナ首脳と近く会談の公算小さい
 プーチン大統領がトランプ大統領およびゼレンスキー大統領と近い将来に会談する可
能性は低い。ロシア大統領府が明らかにした。ウクライナとロシアは前日に直接協議を
行ったが、和平に向けた決定的な成果はなかった。
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<明日の材料と事前予想>
【豪州】
実質GDP(第1四半期)10:30
予想 0.5% 前回 0.6%(前期比)
予想 1.5% 前回 1.3%(前年比)
【ユーロ圏】
ドイツ非製造業PMI(確報値)(5月)16:55
予想 47.2 前回 47.2
ユーロ圏サービス業PMI(確報値)(5月)17:00
予想 48.9 前回 48.9
【英国】
サービス業PMI(確報値)(5月)17:30
予想 50.2 前回 50.2
【米国】
ADP雇用者数(5月)21:15
予想 11.2万人 前回 6.2万人(前月比)
非製造業PMI(確報値)(5月)22:45
予想 52.3 前回 52.3
コンポジットPMI(確報値)
予想 52.1 前回 52.1
ISM非製造業景気指数(5月)23:00
予想 52.0 前回 51.6
【カナダ】
中銀政策金利(6月)22:45
予想 2.50% 前回 2.75%
米地区連銀経済報告(ベージュブック)
クックFRB理事、ボスティック・アトランタ連銀総裁が討論会参加(質疑応答なし)
米金融安定監視評議会(FSOC)開催
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 きょうのNY為替市場、ドルの買い戻しが優勢となり、ドル円は144円台まで買い
戻された。依然として貿易問題への不透明感が広がっている中、前日の弱い米経済指標
の発表もあり、ドル円は東京時間に142.40円近辺まで下落していた。ただ、下値
では押し目買いのオーダーも観測される中、NY時間にかけて下げ渋っている。
 ドルショートと円ロングが積み上がっており、週末の米雇用統計を前にポジション調
整の動きも出ているようだ。本日の21日線が144.70円付近に来ており、その水
準を試しに行くか注目される。
 植田日銀総裁が本日講演を行っていたが、基調的な物価上昇率が2%に向けて高まっ
ていく姿が実現していけば、引き続き利上げで金融緩和の度合いを調整して行くとの見
解を示していた。市場は年内の日銀の利上げの可能性を排除していないものの、貿易問
題を中心に先行き不透明感が根強い中、日銀は利上げになお慎重と見られている。
 OECDが本日、今年の世界経済の見通しを公表し、下方修正していたが、日本につ
いても3月時点の1.1%予想から0.7%の下方修正していた。
 ユーロドルは1.13ドル台に再び下落。ただ、下押す動きまではなく、上昇トレン
ドを継続している状況に変化はない。本日は5月のユーロ圏消費者物価指数(HIC
P)速報値が発表され、総合指数で前年比1.9%とECBの目標を下回った。主要中
銀として初めてインフレとの闘いでの勝利を確実にする大きな一歩となっている。イー
スターの時期が遅れたこともあるが、サービス業など労働集約型企業の賃金低下も要因
となった。一方、本日は4月の失業率も発表され、6.2%と記録的な低水準となって
いた。今週のECBの利下げは正当化される内容ではある。
 ECBは今回の理事会で経済見通しも公表するが、インフレと成長見通しは下方修正
されると見込まれている。そのような中、市場は今回の利下げ以降のヒントを欲しがっ
ている。ECBは経済状況が悪化する場合、例えば7月までに関税が合意に達しない場
合などは、利下げを継続する可能性が高い。ただ、現状からは情勢が未知数なことか
ら、ECBはどちらにも選択肢を残す姿勢を示すものと見られている。
 ポンドドルは1.35ドル台前半に下落。瞬間的に1.35ドルを割り込む場面が見
られたものの、1.35ドル台はしっかりと維持している状況。
 このところ英国債利回りが落ち着いており、本日も英利回りは低下していた。英中銀
のマン委員が量的引き締め(QT)が金融政策に及ぼす影響を認めたことも材料視され
ているようだ。エコノミストからは「マン委員が今後、利下げに投票する可能性が高ま
っていることを示唆している」との見方も出ていた。
 また、日本国債の入札が好調だったこともサポートしているとの指摘も出ている。ア
ナリストは「いまのところ、インフレとスタグフレーションへの懸念は世界の債券市場
の重しとはなっていない」と述べている。
MINKABU PRESS