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2025年10月30日(木)05時36分

NY外為市況=パウエル会見でドル高

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日本時間午前5時34分現在での主要通貨は以下の通り。
           直近値 前日のNY17時比 高値 / 安値
ドル・円  152.72 + 0.61 (+ 0.40%) 153.06 / 151.54
ユーロ・ドル 1.1601 - 0.0050 (- 0.43%) 1.1666 / 1.1578
ポンド・ドル 1.3195 - 0.0077 (- 0.58%) 1.3281 / 1.3141
ドル・スイス 0.8002 + 0.0068 (+ 0.86%) 0.8020 / 0.7926
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<きょうの材料>
*米中古住宅仮契約件数(9月)23:00
結果 0.0%
予想 1.2% 前回 4.2%(4.0%から修正)(前月比)
*FRB政策金利 30日3:00
結果 3.75~4.00%
予想 3.75~4.00% 前回 4.00~4.25%
【カナダ】
*中銀政策金利(10月)22:45
結果 2.25%
予想 2.25% 前回 2.50%
*パウエル議長
・12月利下げは確定した結論には程遠い。
・労働市場は徐々に冷え込んでいる。
・入手可能なデータは見通しが大きく変わっていないことを示唆。
・入手可能なデータは経済が緩やかに拡大していることを示唆。
・インフレは依然としてやや高い。
・政府閉鎖前のデータは成長軌道の堅調さを示唆。
・政府閉鎖は経済活動を一時的に圧迫。
・データに雇用改善が示されれば、決定に影響。
・今回の会合は強い見解の対立があった。
・短期的なインフレリスクは上昇方向に傾斜。
・政策にリスクフリーの道はない。
・関税と無関係のインフレは2%目標と大きい乖離はない。
・サービス部門の非市場部分のインフレは低下の見込み。
・金融政策は依然適度に引き締め的。
・政策が引き締め的なため、雇用は依然冷え込みつつある。
*FOMC声明
・12月1日にバランスシート縮小を停止へ。
・ミラン理事が0.50%ポイントの大幅利下げ支持し反対票。
・カンザスシティ-連銀総裁が据え置き支持し反対票。
・雇用の下向きリスクはここ数カ月で上昇。
・インフレは今年上昇し、依然高い水準。
*カナダ中銀声明
・予測が実現すれば金利は「ほぼ適正水準」にあると見ている。
・見通しが変化すれば対応の用意。
・コアCPIが2.5%近辺を再確認。
・第3四半期GDPは前期比0.5%、第4四半期は1.0%を予測。
・GDP予測を下方修正、25年は1.2%、26年は1.1%に。
・27年のGDPは1.6%を見込む。
・米中貿易戦争でGDPは26年末までに1.5%押し下げられる見通し。
・27年末まで供給過剰が続くと予測。
・原油価格下落と炭素税廃止がCPIを押し下げると予測。
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<明日の材料と事前予想>
【日本】
日銀政策金利(10月)時刻未定
予想 0.50% 前回 0.50%
・展望レポート
・植田総裁会見 15:30頃
【ユーロ圏】
フランス実質GDP(速報値)(第3四半期)15:30
予想 0.2% 前回 0.3%(前期比)
予想 0.6% 前回 0.8%(前年比)
ドイツ失業率(10月)17:55
予想 6.4% 前回 6.3%
失業者数増減
予想 0.8万人 前回 1.4万人
ドイツ実質GDP(速報値)(第3四半期)18:00
予想 0.1% 前回 -0.3%(前期比)
予想 0.2% 前回 0.2%(前年比)
予想 0.2% 前回 -0.2%(季調前前年比)
ユーロ圏消費者信頼感指数(確報値)(10月)19:00
予想 -14.2 前回 -14.2
ユーロ圏景況感指数(10月)19:00
予想 95.6  前回 95.5
ユーロ圏実質GDP(速報値)(第3四半期)19:00
予想 0.2% 前回 0.1%(前期比)
予想 1.2% 前回 1.5%(前年比)
ユーロ失業率(9月)19:00
予想 6.3% 前回 6.3%
ドイツ消費者物価指数(速報)(10月)22:00
予想 0.3% 前回 0.2%(前月比)
予想 2.2% 前回 2.4%(前年比)
調和消費者物価指数(HICP)
予想 0.2% 前回 0.2%(前月比)
予想 2.2% 前回 2.4%(前年比)
ECB政策金利(10月)22:15
予想 2.00% 前回 2.00%
・ラガルド総裁会見 22:45頃
米中首脳会談(韓国)
ローガン・ダラス連銀総裁が会議出席
※米政府機関閉鎖の影響で米経済統計の発表は延期になる可能性
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 きょうのNY為替市場、午後のFOMC後のパウエル議長の会見を受けてドル高が強
まった。議長が「12月の利下げは決して確定した結論には程遠い」との見解を示した
ことに市場は敏感に反応したようだ。
 FOMC前の短期金融市場では、12月利下げを完全に織り込んでいたものの、パウ
エル会見後は65%程度の確率に後退。政策金利に敏感な米2年債利回りは3.6%近
くまで急上昇している状況。
 政府機関閉鎖で米経済指標の発表がなく、入手できるデータが少ない中、想定通り
に、議長は12月についてどちらにもオープンにしていた印象。雇用の冷え込みに言及
はしているものの、データに雇用改善が示されれば決定に影響すると述べている。一
方、インフレは依然として高水準で推移する中、サービス部門の非市場部分のインフレ
は低下を見込んでいる点も指摘していた。
 利下げ、据え置きのどちらにもバランスを取った発言のようにも思われるが、市場が
12月利下げを過度に織り込んでいた分、サプライズとなってしまった印象もある。
 ドル円は152円付近から一気に153円付近に上昇。ただ、153円台に入ると売
り圧力も強まるようだ。
 パウエル会見後のドル高を受けて、ユーロドルは1.15ドル台に再び下落。前日ま
での5日間の緩やかな上げを帳消しにし、21日線と100日線から下放れする展開が
見られた。一方、ユーロ円は一時177円台半ばに上昇。
 明日はECB理事会が予定されており、据え置きが確実視されている。ECBはすで
に利下げサイクルを終了しており、当面政策金利は据え置かれると見られているよう
だ。エコノミストは、貿易摩擦やユーロ高といった要因は、明日のECB理事会での政
策決定に影響を与えるほど重大ではないとの見方を示している。
 米国との貿易摩擦は依然として大きな不確実性要因ではあるものの、現時点で景気の
大幅な悪化やインフレへの明確な影響は見られないという。また、対ドルでのユーロ高
および人民元の弱含みは、今後の物価上昇圧力を抑制し、欧州の輸出企業に追加的な重
荷となるとも指摘した。また、サービス分野のインフレは依然として約3%付近で高止
まりしており、インフレ動向が完全に正常化したとは言い難いとも述べている。
 ポンドドルは一時1.31ドル台半ばまで下落。本日の下げで200日線を下回って
おり、明日以降の動きが注目される。一方、ポンド円は一時200円台半ばまで下落し
ていたが、201円台半ばまで戻す展開。
 市場では英中銀への見方が割れている。年末までに再び利下げを行う可能性は低いと
の見方と、米大手証券からは、早ければ来週にも利下げの可能性があるとの予測も出て
いる。
 先日発表の9月の英消費者物価指数(CPI)は3.8%と、市場の上昇予想に反し
て横ばいとなり、これにより市場では12月利下げの可能性が再び意識されているが、
その実現には懐疑的な見方を示している。予想に反したとは言え、インフレは3%より
も4%に近いという。
 本日はカナダ中銀の政策委員会もあり、予想通りに0.25%ポイントの利下げを実
施。それを受けてカナダドルは買いの反応を見せていた。声明では「予測が実現すれば
金利は“ほぼ適正水準”にあると見ている」と述べており、ターミナルレート(最終到
達点)に接近していることを示唆している。ただ、パウエル会見でドルカナダは下に往
って来いの展開となった。
MINKABU PRESS