DMI
【1】DMIとは?
DMI(方向性指標)とは、J.Wワイルダー氏が考案したテクニカル指標である。この指標は、いわゆる逆張り指標とされるRSI、ストキャスティクスなどが、一方に傾くトレンドにおいて期待できないことから、その弱点を補うための「順張り指標」として考案されたもので、トレンドの有無と強弱を探ろうとするものである。
【2】DMIとポイント
・DMIの特徴は、終値の比較を無視して、当日の高安が前日の高安に比べてどちらが大きいかを見極め、相場の強弱を読むところにあり、「ボラティリティ(価格の変動幅)」からトレンドを分析しているところである。なお、一般的に使用する期間は14日が用いられることが多いとされる。
・構成要素
①±DM(Directional Movement) ②TR(True Range) ③ATR(Average True Range) ④±DI(Direct Indicator) ⑤ADX(Average Directional Index) ⑥ADXR(Average Directional Movement Index Rating)
以上の6つとなる。
※チャートの見方
・+DIと-DIの交差によって売買シグナルを捉える。+DIが-DIを上抜いている(値が大きい)ときは買いシグナル、反対の場合(+DIが-DIを下回る)は売りシグナル点灯を示唆する。ただし、この方法では「ダマシ」も多いことには留意しておきたい。また、±DIは相場の強弱の把握には効果的だが、トレンドの有無については見極めにくい。そこで、ADXを用いてトレンドの有無を確認する必要がある。
・変動の大きさを捉えるDXだと振動がかなり大きくなってしまうため、±DIで用いた期間で平均をとり導き出すのがADXである。ADXが上昇するということは「トレンドが強い・継続する場合」、逆にADXが低下するということは「トレンドが弱い・反転するかレンジ相場へ移行する場合」を示唆する。
そのほかの捉え方としては、前述した±DIを用いて推し量る方法で、+DI・-DIの2本の線の差が拡大した場合は「トレンドが強い・継続する場合」、+DI・-DIの2本の線の差が縮小した場合は「トレンドが弱い・反転するかレンジ相場へ移行する場合」を示唆することになる。
【3】DMI構成要素の説明(計算式含む)
(1)DM(Directional Movement・方向性)
前日の動きと比較し、当日の動きが超えた部分の最大値を方向性(DM)という。したがって、「当日高値>前日高値」、「当日安値<前日安値」の場合は絶対値の大きい方を採用。また当日のレンジが前日のレンジに入っている場合は「ゼロ」とする。(詳細は下記参照)
+DM=当日の高値-前日の高値(上昇の強さを示す)
-DM=前日の安値-当日の安値(下落の強さを示す)
条件として・・・・
+DM<0(ゼロ)なら +DM=0
-DM<0(ゼロ)なら -DM=0
+DM>-DMなら -DM=0
-DM>+DMなら +DM=0
(2)TR(True Range)
・下記3つの中で最大値を選択する
1.当日の高値と安値の差
2.前日終値と当日高値の差
3.当日安値と前日終値の差
※TRの平均をとった指標としてATR(Average True Range)がある。
(3)±DI(Directional Indicator)
一定期間の±DMの平均を求め(一般的には14日間が採用されている)、この平均をATRで割ったものをDIと呼称する。これは、DMと同様に正負が付く。
+DI=+DM÷ATR×100
-DI=-DM÷ATR×100
(4)ADX(Average Directional Movement)
ADXを求めるために、まずDXを求める
DX=(+DI-(-DI))÷(+DI+(-DI))
ADX=DXの14日平均
※「DX」は変動の大きさをとるものであるが、「DX」だと振幅が大きくなってしまうため、平均(ここでは14日平均)をとり「ADX」を算出することで振れを抑えた結果を得ることができるといえる。
(5)ADXR(Average Directional Movement Index Rating)
ADXの遅行指標としての意味合いがあり、普段はADXの動きを規定するために用いられる。ADXとの位置関係で勢いを推し量る見方をする。
(14日前のADX+ADX)÷2
※14日については一般的に用いられる期間