プロジェクトの背景・概要
ワールド・ビジョン・ジャパンは2009年から2023年の予定で、プドゥコッタイ地域開発プログラムを実施しており、保健衛生や栄養改善、子どもの保護の分野を中心に活動しています。
インド南部のタミル・ナドゥ州に位置するプドゥコッタイ郡は、ベンガル湾に面する商業都市チェンナイから南へ約400kmの場所にあります。支援地域は長年水不足が続き、灌がい設備が整備されていないため、農業による収穫は乏しく不安定です。また、女性の社会的地位が低く伝統的に女性の教育が重視されていなかったことから、支援地域の女児・女性の3割以上は一度も学校に通ったことがなく、女性の識字率は男性を合わせた全体より10ポイント以上低い状況です(女性:66.3%、プドゥコッタイ地区全体:77.19% )。こうした経済的な貧困や、子ども・女性の権利や保護に対する認識が低いことは、子どもの栄養や衛生面にも悪影響をおよぼしています。
本事業の支援対象であるマトゥア初等・中等学校は、1996年に初等学校として開校しました。開校当初は、6年生~9年生までの約350人が在籍していましたが、2005年に初等・中等学校に格上げされ、現在はマトゥア村と周辺村を含む5村から6年生~12年生の子どもたち計548人が在籍しています。
開校時から生徒数が増えたため教室の増設が必要ですが 、行政の予算が限られ整備されておらず、実験室やコンピューター室を教室として使用していました。10年生と12年生は学年修了後、競争の激しい修了共通試験に備えるため集中して勉強できる環境が必要ですが、一部の生徒は実験室や老朽化したコンピューター室を使って学習している状況が続いていました。また、同校には生徒たちのために給食(昼食)を準備する調理室がありますが、屋根、窓、床などが損傷しており、修繕しなければならない状態でした。
前述の状況を改善するため、本事業では、マトゥア初等・中等学校に2教室からなる校舎一棟を建設し、調理室とコンピューター室を修繕することで、10~12年生の学習環境の改善を目指しました。
学校建設完成
本事業で完成した新校舎
本事業で修繕されたコンピューター室
本事業で完成した新たな調理場
■支援事業による効果
・子どもたちは新たな教室やコンピューター室ができて、非常に満足しており、より積極的に授業に参加するようになっています。 授業を欠席する子どもたちの数が 減っているとの報告もあります。
・子どもたちが以前よりも意欲的に 学ぼうとしており、教員もやりがいを 強く感じるようになっています。コンピューター室のおかげで、インターネットを使いながら授業を行うこともでき、快適であるとの声も教員の中から上がっています。
・新たな調理室 が設置され、衛生的な環境で給食が調理され、子どもたちに提供できるようになりました。給食は タミル・ナドゥ州が決定したメニューに基づき、毎日、昼食時に提供されています。
メニュー例:野菜入りビリヤニ(炊き込みご飯)と卵
■支援事業終了後の持続性
本事業では事業開始時にプドゥコッタイ郡教育局、マトゥア初等・中等学校の学校運営委員会、PTA(保護者・教職員連合)、地域代表者が 一堂に会し、事業計画、各自の役割と責任について 書面をもって合意し、協力し合いながら実施しました。学校運営委員会およびワールド・ビジョンの働きかけにより、インド政府(地方行政)は本事業終了後、毎年15000インド・ルピー(約26, 000 円)を本校の施設維持費のために割り当てることを決定しています。
新校舎の石造りの記念プレート
授業中の様子
現地の声
「私は教員のクマレサンと申します。ご支援により完成した校舎(教室 、コンピューター室、そして調理室は私たちの学校をさらに高いレベルに引き上げてくれます。子どもたちは快適な環境で学ぶことができ、とても満足しています。ヒロセ通商様の温かいご支援に心より感謝申し上げます。」(教員より)
「私の名前はサトゥルティヤです。この新しい教室に入り、勉強するととても幸せな気持ちになります。ご支援をありがとうございます。」(児童より)
「私はラジャゴパランと申します。新しく清潔な調理室は、毎日、子どもたちに安全でおいしい給食を提供しようという気持ちを、私の中に湧き上がらせてくれます。ヒロセ通商様からの素晴らしいご支援に感謝申し上げます。」(給食管理者より)
学校建設プロジェクト
-
PDFファイルをご覧になるためには、Adobe Readerが必要です。
お持ちでない場合は、こちらからダウンロードページしてください。