プロジェクトの背景・概要
プラン・インターナショナルのトーゴでの活動は、1988年より活動を開始し、首都ロメにある国統括事務所と4つの現地事務所を拠点として住民参加型開発活動に取り組んでいます。
トーゴは、西アフリカにある細長い小さな国で、首都ロメはガーナとの国境沿いに位置しています。
人口の多くを子どもや若者が占めており、多くの人々が農業に従事しています。社会・経済基盤の整備が遅れ、安全な水とトイレの利用状況が改善されないなど、とくに農村地域では深刻な貧困問題を抱えています。国内貧困率は55.1%にのぼります。
小学校の修了率は男の子83%、女の子76%で、女の子のほうが学業を続けることが難しい状況で、18歳までに結婚する女の子は25%にのぼり、女の子が学業を続けられない要因の1つとなっています。就学年齢の子ども(5~17歳)のうち、何らかの障害がある子どもの割合は21.2%ですが、小学校に通う子どものうち障害のある子どもの割合は0.4%に留まっており、障害のある子どもの多くが学校に通うことができておりません。
本プロジェクトは、カーラ州バサール県で実施しました。
トーゴ北部に位置するアクセスが悪い遠隔地であり、トーゴの中でも貧困率が高く、貧困率は72.4%にのほります。
大半の小学校は適切な教室やトイレ(男女別)、井戸(給水設備)が整備されておらず、子どもたちは屋外排泄をせざるをえず、衛生環境が著しく悪い状況です。
このように適切な学校施設が整備されていないため、小学校に通う子どものうち障害のある子どもの割合は0.6%に留まっており、障害のある子どもの多くが学校に通うことができておりません。小学校を卒業する子どもは75%にとどまります。保護者や地域住民のジェンダー平等やインクルーシブ教育※に関する知識が不足しているため、女の子や障害のある子どもが教育を受ける権利について理解されていない面もあります。
フン郡には93校ある小学校のうち幼稚園が併設されているのは14校のみで多くの子どもたちが就学前教育を受けることができず、3~5歳の就学前教育の就学率は41%で小学校1年生での中途退学率は9.7%(女の子11.9%/男の子7.7% )にのぼると言われています。
前述の状況を改善するため、本事業では、対象校のすべての子ども、特に女の子や障害のある子どもががジェンダーや障害に配慮した安全な環境で、質の高い基礎教育を受けられるようになることを目指しました。
※インクルーシブ教育:障害の有無や貧富の差、都市や農村など居住地による区別なく、すべての子どもが分け隔てなく学べる環境のこと
学校建設完成
完成した教室の外観
完成したトイレの外観
太陽光発電を用いた外灯の設置と教室への電力の供給
■子供たちが安心して利用できる設備
・教室が整備され、机やイス、学用品や教材などが支給されたことで、子どもたちが適切な環境で学ぶことができるようになりました。
・トイレ(男女別トイレ、障害児用の個室付)および井戸(給水設備)が整備され、手洗い用品が支給されたことで、衛生環境が改善され、子ども、特に女の子や障害のある子どもが安心して学校に通うことができるようになりました。
・保護者や地域住民がジェンダー平等やインクルーシブ教育について知識を深め、すべての子どもが教育を受ける権利について理解されました。これにより、女の子や障害のある子どもが学校に通うことができるようになりました。
教室内の様子
整備した校庭と遊ぶ子どもたち
■就学前教育の改善
・小学校の教室を整備し、学用品や教材を支給したことで、女の子や障害のある子ども含むすべての子どもたちが安全な環境でより質の高い教育を受けられるようになります。
・小学校の男女別トイレおよび井戸を建設し、手洗い用品を支給したことで、衛生環境が改善され、感染症予防と健康状態の向上が期待できます。
・教師やPTA、地域住民を対象に、インクルーシブ教育やジェンダー平等促進に関するトレーニングを行ったことで、女の子が安心して学び続けることができるようになり、ジェンダー平等の実現が期待できます。
小学校のサッカーチーム
現地の声
「私はここの小学校で3年間校長として働いています。このプロジェクトが開始してから、教室やトイレ、井戸の建設など、すべての活動に主体的に参加してきました。新しい学校施設ができたことで、今年は特別な年になりました。より多くの子どもたちが入学を希望し、例年と比較して、女の子や障害のある子どもの入学者数も増えました。適切な設備が整備され、学用品、制服などを支給していたいだたおかげです。温かいご支援に心から感謝いたします。これからも、地域の人たちと協力し、男女問わず、障害の有無にかかわらず、すべての子どもたちが教育を受けられるようにしていくことをお約束いたします。」(小学校校長)
「私は小学校5年生です。自分の学年に必要なすべての教材と新しいカバンや制服をもらえて本当にうれしいです。学校に行くのがとても楽しくなりました。また、コミュニティに太陽光発電を用いた外灯が設置されたおかげで、夜の暗さが明るさに変わりました。暗くなってからでも、家の近くの明かりの下で勉強もできるようになりました。私は将来、助産師になるのが 夢です。これからも一生懸命勉強を続けていきたいです。」(小学校校5年生)
「私は小学校4年生です。スポーツが大好きです。このプロジェクトで、サッカーボールやゴール、ユニフォームを支給していただいたおかげで、毎日学年の枠を超えてみんなでサッカーを楽しんでいます。私たちの姿を見て、自分の娘にサッカーなどのスポーツをさせたいと思う保護者が増えると思います。このプロジェクトのおかげで、小学校の女の子たちは新たな挑戦をすることができるのです。」(小学校校4年生)
学校建設プロジェクト
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