アイルランド PART-2

今回のアイルランド旅行は、今までとはかなり違うアドベンチャー。どこへ行くのかさえも、具体的には決めていない。アイルランドまでの往復航空券だけを用意して、さて、この先何が待っているのやら。

飛行機が到着したダブリンはアイルランドの首都。なぜかスペイン人が多い。なぜ、スペイン人だとわかるかっていうと、みんな顔にスペインの国旗をペイントして、「オーラ、オーラ」と元気よくはしゃぎまわっているから。ちょうどWorld Cupの決勝戦の前なのだ。私も一緒にWorld Cupで盛上りたい!でも、今回は見送り。ここは私の目的地ではないのだから。 さて、車にテントを積んで、えっ、テント?「どこかでハイキングをしよう!」と、デイパックとハイキング用の靴は用意してきたけれど、ずうっとテントで生活するとまでは考えていなかった。可愛いい普通の自宅で温かいもてなしをしてくれる、しかも料金が安いB&Bに泊まるとばかり考えていた。イギリスやアイルランドには、自宅の空いた部屋を利用して、B&B、つまりベッドとブレックファースト(朝ご飯)を提供する民宿のような宿がたくさんある。だからお祭りとかイベントがない時期なら、日本から予約をしなくても、目的の町に着いてからツーリストインフォメーションで予約をしてもらうか、または[ Vacancies ]と出ているB&Bを見つけて直接行っても大丈夫。だけど今回は、テント。それはそれで、楽しいかも。たった1週間だけれども、誰にもできない夏休みになりそう。

私達が向かったのは、ディングル半島。アイルランドの南西の端っこ。入り組んだ海岸線がとても美しく、アイルランドの人たちもたくさん観光に訪れる場所。高い波、どんより曇った空を見ていると、日本海を思いだす。心の中には演歌さえ聞こえてきそう。でもここはアイルランド。牛や羊の糞に気をつけて、歩かなければならない。でも実際、気をつけていたのは最初だけ。だって至る所にあるので、踏まずに歩くのは不可能なのだから。

旅行する時は、いつも小さな目的を作る。例えば「友達に会う」イタリアにはブルーノに会いに行った。「音楽の旅」去年は音楽のサマースクールに参加した。そして今年は「ハイキング」けれども、全く訓練はしていない。ハイキング用の靴を買っただけ。ハイキングとトレッキングの違いも分からない。そんな私に、いったいどれくらいの山に登れるのだろう?まずは小手調べで、イーグル山(標高516m)に挑戦。ハイキング用に道が整備されているわけではないので、まずその登り口を見つけるのに一苦労。ディングルに着いてもう3日目なのに、毎日、道に迷っている。もちろん詳しい地図を持っていないからなのだけど、それにしてもおかしい。同じ道を走っているはずなのに、なぜか見たことのない風景に出合う。カーナビさえも、右側が崖の一本道で「右へ曲がれ。右へ曲がれ」と繰り返す。曲がったら、海へ真っ逆さまなのに。これはもう、いたずら好きの妖精が、夜の間に道を作っているに違いない。または、日本の狐のように私たちをからかっているのかな。

さて、やっと登り口らしいところに着いたら、それは放牧場の入り口。誰かの土地に違いないけれど、ここしか他に見当たらない。ちょうど降りてきた二人組がいたので聞いてみると、「この先にあるのは、頂上と雲だけ」なるほど、間違いなくイーグル山の頂上には行けるらしい。スタートしてすぐ、下からは見ることのできない湖が現れた。とても静か。美しさの条件の中には「静寂」が含まれるのだと思わせてくれるような景色。そして私たち以外、誰もいない。その後も羊以外誰にも出会わず、私たちは雲の中へと入って行った。

2時間のハイキングを楽しんで、無事に我が家、ブルーテントに戻る。とても気持ちのいい疲労感。のんびりと自分のペースで歩けば、私にもできる。よし、では次はアイルランドで一番高いブランドン山(標高952m)に挑戦しよう、と1日休憩をとった明後日は、雨。でもどしゃ降りではないし、もしかすると止むかもしれないと登り口まで行ってみる(もちろん迷いながら)が、雨はより激しくなる。今回は無理なようだ。欲張るのはやめて、来年にとっておこう。もう来年の目標ができてしまった。来年はMt. Brandonに登る!楽しいハイキングができるように、少し体を鍛えよう。

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