東ティモール視察日記
学校建設プロジェクトは9カ国目となり、今回の訪問国は東ティモール民主共和国です。
今回は学校ではなく幼稚園で、3つの幼稚園を建設させていただきました。
東ティモールはティモール島の東半分、四国と同じくらいの大きさの国です。
ティモール島は16世紀にポルトガルによって植民地化され、その後オランダが進出し、1859年に西ティモールをオランダ領として割譲し、ティモール島は東西に分割されました。現在、西側はインドネシアです。
1975年インドネシア軍が東ティモール全土を制圧しその後20年以上にわたり東ティモールの国民は射殺されるなどの暴力を受けていました。1991年起きたサンタクルス事件で平和的なデモ隊にインドネシア軍が無差別に発砲し、約400人の命が奪われた事件により世界的に東ティモールの残酷な状況が知れ渡ることとなりました。
2002年に独立を果たしましたが、当初は政治上の混乱から治安もかなり悪化していました。その後、東ティモールは国連の援助により治安維持をしつつ、独立国家としての体制が整備されていきました。今では国連の平和維持機関は撤退し、治安は東ティモール独自の警察や軍などにより、ある程度安定しています。
私は、東ティモール=治安が最強に悪いところ。という印象が強かったのですが、国境付近を除いて治安は安定しているようです。昨年視察に行った世界の最も危険な「殺人多発都市」トップ50国中、3位にランキングしているエルサルバドルより治安は悪いものだと勝手に思っていました。
日本から東ティモールへ行くには、一度インドネシアのバリで乗り継ぎを行い、東ティモールの都市であるディリ行きの小型飛行機に乗ります。
空港に着くとすぐにタクシー運転手が声をかけてきたので、値段交渉をし、ホテルへ。とてもファンキーにタクシーの中を着飾っていた彼は、陽気なお兄さんでした。
ホテルまで行く間に多くの小型バスを目にしました。グアテマラや、エルサルバドルで見るようなデザイン、派手さがとても似ていました。
やはりこれはポルトガル植民地の特徴なのでしょうか。
ホテルに着いた後、ディリの中心街の海辺を歩くことにしました。
多くの若い男女がランニングをしていました。私が今まで訪問した発展途上国では、生活をするのに必死で、無駄にエネルギーを使おうとしないのが一般的だったのでランニング姿に驚きました。
翌日には今回のプロジェクトの幼稚園があるモービッセへ1時間半かけて車で向かいました。
ディリからたった10分ほど車を走らせると泥道になり、梅雨に入ると川になるという道を通り、山へ向かいました。山へ向かう際には牛やヤギなど様々な動物を見ました。
1件目の幼稚園に到着。多くの子供たちに迎えられました。このモービッセ地域では幼稚園がほとんどなく、3歳から5歳児の多くの子供たちが教育を受けられないため、このプロジェクトを実施しました。
この幼稚園ができたことで、モービッセ地域の子供たちが幼稚園に通い、教育を受けながら東ティモール政府から朝ごはんとお昼ごはんが提供され、栄養失調問題も改善されると聞きとても安心しました。
しかし、まだまだ課題は山積みで、インフラが整備されておらず、電気と水が学校に行き渡るように、政府の協力が必要だそうです。現状ではこのモービッセ地域のほとんどの人が電気と水が使えないそうです。
衛生管理ができている環境の中で子供たちが安心して学べるようにプラン・東ティモールは政府に働きかけているとのことでした。
1つ目の幼稚園の視察を終え、2つ目の幼稚園があるマウラウ地域へ出発。そこまでの道のりは「バンピーロード」として知られていて、道があるようでない、ガタガタな泥道を駆け巡る旅となりました。
プランの職員でマウラウ地域が地元の方の先導によって向かっていたものの、彼女でさえ道に迷っておりました。
道中、この写真のような家をたくさん見ました。昔からある、東ティモール特有の一般的な家だそうです。
2つ目の幼稚園に着くと、1つ目の幼稚園とは違って、幼稚園の子供や小学生の子供達に加え、保護者の伝統的なダンスで迎えられました。
また伝統的なルールとして、ゲストはちょっと離れたところで待ち、現地の方がゲストへ贈り物を与えてから手を引いてゲストを連れて行くようです。私も手を引いてもらいました。
この2つ目の幼稚園も3歳から5歳の子供たちが通うものとなりました。このマウラウ地域は1つめの幼稚園よりさらに都市部から離れているため、幼稚園も学校も少なく、集まる子供達の数が多いとされています。子供達が笑顔で喜んでいる姿を見られて嬉しく思いました。
また幼稚園の中を拝見すると東ティモールの旗の端に日本の旗もありました。こういったちょっとした気配りもうれしいですね。
ランチの時間です。
イモ類、豆、パン、野菜、とてもヘルシーなランチでした。
幼稚園の見学が終わった後、私は東ティモールに着いてから気になっていた「トラディショナルハウス」を拝見させていただきました。
現地の方の中でも限られた人しか所有していないそうですが、たまたまプラン職員のお父さんがこの地域に所有していたため拝見することができました。
このトラディショナルハウスは東ティモール特有の一般的な家とは違い、高い山などに存在する伝統的な祝い事などをする家だそうです。いわば別荘のようなものでしょうか?
今回のプロジェクトである幼稚園訪問も終え、東ティモールのランドマーク、クリスト・レイ像を見に行きました。ディリの中心部から約10キロ離れた半島の先端にあります。現地の方に聞いた話によると、インドネシアからの平和を意味する贈り物だそうです。
この写真を撮った時に高校生ぐらいの学生達に英語で声をかけられ、英語授業のレポートに協力してほしいといわれました。
私はその時、今回の学校建設のプロジェクトの子供達も学び続けることをあきらめず、英語が話せるまで成長してもらえたら、本当の意味でプロジェクトが成功したことを証明できると思いました。 21世紀、最初の国となった東ティモールの子供達へ!
親達が苦労した分、羽を大きく広げて様々なことに挑戦してもらいたい!Spread your wings and fly!
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