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カンボジアにおける学校建設プロジェクト

プロジェクトの背景・概要

 カンボジア王国タケオ州にある本事業地域において、ワールド・ビジョンは2011年から2029年の予定で、チャイルド・スポンサーシップによる地域開発プログラムを実施しています。本プロジェクトでは小学校に通う児童が安全で適切な環境で学習できるように小学校の校舎を修繕を行いました。

 支援事業地は、2024年時点で、地域の人口は約3万人、世帯数は約5千世帯で、いくつもの村とコミューン(行政区)から成り立っています。総人口のうち、約85%が農業従事者です。雨季には洪水の影響を大きく受けます。農地だけでなく、学校や保健センターの敷地等も毎年約6カ月間、冠水します。

 住民の多くが農業(稲作)に従事していますが、それだけでは十分な収入を得られないため、近隣の縫製工場や建設現場、またはプノンペンや海外(主にタイ)まで出稼ぎに行く住民が多くいます。両親が出稼ぎのため常に不在で、祖父母とともに暮らす子どもたちの姿が至る所で見られます。住民が直面している最大の課題の一つが、子どもたちが危険な環境で学習しなければならない状況にある、ということです。小学校の校舎が老朽化しており、校長の話によれば、実際に老朽化した教室で2人の児童が事故に遭い、保健センターに搬送されました。学校運営委員会1は危険な2教室を施錠し、代替として中学校から2教室を借りることを決定しました。しかし、児童数は年々増加しているにもかかわらず、教室数が不足しているため、校長と学校運営委員会は1クラスあたりの児童数増やし、午前と午後に分けて授業を行っています。カンボジア教育・青少年・スポーツ省(以下、教育省)は1クラスあたり30-35人を適切な数と定めており、その基準を大きく超え、教育の質の低下を招く原因のひとつとなっています。
 洪水や強風の影響を受ける地域であり、雨季(約6カ月間)には農地や学校、保健センターなどが毎年浸水します。特に7月から8月にかけては強風が多く、教師や児童たちは小学校の屋根の破損を不安に思いながら学習しています。小学校では屋根の破損を心配しながら授業が行われています。建物の老朽化も進んでおり、児童にとって危険な環境となっています。こうした状況により、「子どもを学校へ通わせるのが不安」との保護者の声や、「荒天時に教室にいるのが怖い」と話す児童もいます。
 上記の通り、学習環境の未整備は、小学校の修了率や学習成果において課題として表れています。教育省が発表した2020~2021年の報告によると、郡内の小学校の修了率は79.5%、進級率は86.9%にとどまりました。一方で、留年率は6.7%、中退率は6.4%と比較的高い水準にあり、特に女子児童の中退率は6.9%とさらに高い傾向が示されています。

前述の状況を改善するため、本事業では、小学校の校舎を修繕し、維持管理体制が整うことで、小学校に通う児童が安全で適切な環境で学習できるになることを目指しました。

学校建設完成


修繕後の生まれ変わった校舎


修繕後の教室で学ぶ児童たち


安心して過ごせる教室で笑顔あふれる児童たち

■支援事業による効果

本事業により、校舎2棟(合計8教室)の修繕が完了し、より良い学習環境が整いました。支援前は老朽化したものを含め9教室2が使用されていました。しかし、ご支援の結果、修繕された8教室を含め、安全に使用できる教室が13教室に増えました。安全な教室が増えることで、1クラスあたりの児童数が減り、児童は適切な環境で授業を受けることができるようになりました。支援前は1クラスあたり45人以上(多い教室では60人)であったところ、支援後は35人以下に減っています(教育省が定める基準を満たしています)。児童は怪我や事故の危険性のない環境で、学習することができています。学校が安心できる場所となったことによる効果は数字にも表れています。小学校の記録によると、6歳児童の小学校入学率は、2023-2024年度に比べ2025-2026年度は向上しています。また、中退率は、2025-2026年度は今までのところゼロです。さらに、留年率は、2023-2024年度に比べ2025-2026年度は低下しています。

■支援事業終了後の持続性

 本事業の計画は、学校運営委員会と緊密に連携し、地域住民やコミューン(行政区)から地域住民に協力いただき、本事業を実施しました。ワールド・ビジョンと学校運営委員会の呼びかけに応じて、地域住民からの寄付、学校およびコミューンの予算、労働力と資材が提供されました。また、学校運営委員会は、コミューン評議会にもより一層の協力を働きかけ、その結果、コミューン評議会はコミューン予算から割り当て、今後も学校運営を支援し続けることを約束しました。これら一連のプロセスを経て、学校関係者も地域住民も、学校の維持管理と子どもたちの教育を重要視する姿勢を強めており、事業完了後も長きにわたって支援の成果が持続されていくことが期待できます。


支給したTシャツを着てくれた児童たち


設置された記念プレート

現地の声


修繕された教室で写真撮影

「この小学校は1987年に、4つの教室が建てられて始まりました。何年にもわたって、学校の一部は劣化し、特に雨季や強風の際には危険な状況でした。子どもたちは授業や休み時間中にけがをする危険があり、多くの親は子どもたちの安全を心配していました。子どもたちを他の学校に転校させようと考える親もいましたが、その結果、特に女子児童や貧しい家庭の子どもたちの間で不登校が増えました。修繕された校舎を見ると、私は喜びでいっぱいになります。私が1990年にここで教え始めて以来初めて、学校は安全で魅力的な学習環境を子どもたちに提供しています。入学者数は増加し、中退者は減少し、子どもたちは今、より良い環境と学習経験を楽しんでいます。ヒロセ通商様の寛大なご支援に心から感謝します。この校舎は物理的な構造物以上のものです。日本の人々からの希望と愛の贈り物であり、すべての子どもたち、特に少女や最も弱い立場にある子どもたちに学習機会を与えることで、何世代にもわたってこの地域に恩恵をもたらすでしょう。」
(小学校校長)

「以前は、教壇に立つ際、恐怖でいっぱいでした。校舎はひどく損傷し、雨季や強風の時には、壁が崩れて児童を危険にさらすのではないかと常に心配していました。このような状況では、教えることに集中したり、有意義な活動を行ったりすることは困難でした。今日、すべてが変わりました。新しい教室は安全です。私たちはもはや恐怖の中で教えることはありません。その代わりに、自信と希望とコミットメントを持って教えています。この改善された環境は、児童を守るだけでなく、教師である私たちを励まし、より質の高い教育を提供できるようにしてくれます。ヒロセ通商の皆さま、ありがとうございました。」
(教員)

「この学校は私の子どもの頃からここにありましたが、何年もかけて老朽化し、建物の一部が壊れました。子どもが友だちと遊んでいてけがをすることがよくあり、安全がとても心配でした。家から遠い学校であったとしても転校させることを考え、校長先生と相談したこともあります。今、こんなに美しい学校に変わったのを見て、家族も子どももとても喜んでいます。子どもは村の他の子どもたちと一緒に楽しく学んでいますし、雨季や強風の時も子どもの安全が心配ではなくなりました。安全で美しい校舎という特別な贈り物を通して、希望と喜びをもたらしてくださったヒロセ通商の皆さまに深く感謝しています。」
(児童の親)

「友人が転んで怪我をしているのを見ると、怖かったです。両親は雨と強風のために私が学校に行くことを時々許してくれませんでした。また、両親はぼくを転校させたいとも思っていましたが、友だちもいるし、学校も遠いので、転校すると考えると悲しかったです。 今、きれいに修繕された学校を見てとてもうれしいです。友だちと一緒に勉強したり遊んだりできるし、学校ではきれいなトイレを使うことができます。ぼくは医者になって人々を助けたいので、一生懸命勉強します。私たちにこの美しい校舎と教室を与えてくれたヒロセ通商様にとても感謝しています」
(児童)


※写真提供:国際NGOワールド・ビジョン・ジャパン

学校建設プロジェクト

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